2005年1月21日 FREEwilliamsburgのインタビューより

2004年、最大級の成功を手にした英国のバンド、Kasabian。

彼らは今や、StereolabやStone Roses、あるいはPrimal Screamといったバンド と比較されるほどの存在になっている。これまでに4枚のヒット・シングルを送 り出し、昨年(2004年)の6月にリリースされたファースト・アルバムは実に25万 枚ものセールスを上げた。ライブのチケットも売切れ続出だ。

カサビアンのブレイクはあっという間の出来事だった。

ほんの一年前まで彼らは誰にも知られていなかった。それなのに、わずか11ヶ月 後、カサビアンはニューヨークにあるBowery Ballroomを満員の観客で埋めたの だった。事前に挨拶がわりの曲をリリースする必要さえなかった。

彼らはこれから、he Musicと一緒に一ヶ月に渡るツアーに出るという。二月の中 ごろにNYCからスタートし、三月の終わりまで各地を回った後、SXSW(サウス・バ イ・サウス・ウエスト)音楽祭でツアーを締めくくる。

英国のレスターで結成されたこのバンドにはマンソン・ファミリーに関係する殺 人犯の名前が付けられている。今回、我々はボーカルのTom Meighanに話を聞い た。2005年の幕開けにあたり、驚異のバンドの内幕について語ってもらおうとい うわけだ。カサビアンは4人編成。メンバーはTom Meighan(Vo)、Sergio Pizzorno(G、Key)、Chris Edwards(B)、Christopher Karloff (G、Key)だ。



●アルバムはいつレコーディングしたんだい?
「一年くらい前かな。農場で録音したんだ。全員が腰を据えて仕事をするために は都会から離れる必要があった。でなきゃ、こんなに素晴らしい赤ん坊は生まれ なかったと思うよ。都会にある正式なスタジオで録音したんじゃ、この味は出せ なかったろうね。しっかりと腰を据えて集中したからこそ出来た作品だ」

●レコーディングにはどのくらいの時間を費やしたの?
「合計すると8ヶ月くらいかな。ずっと前から曲の骨組みは完成してたんだ。自 分たちが何をするべきかは分かってた。頭の中じゃ曲はできあがっていたのさ。 僕らは二年間、まるでヒッピーみたいに生活してた。素晴らしい経験だったよ」

●コミューンみたいな感じかい?
「そう。まあ遠くはないね。ヘルシーな食べ物がまるで無くてね。ゴミ料理かジ ャンク・フードばかりさ。仕方がないからポテトチップスばかり食べてたよ」

●トラックか何かで生活してたの?
「そんなところかな」

●実際のレコーディングの作業はどんな風に進めてったの?
「とにかくアイデアを練って、それを纏めていくのさ。僕らの場合はまずコンピ ューターを使うんだ。最初にビートを作る。そのあとでギターのパートを組んで いったりするんだけど、セルジオが一人で作ってきたギター・パートに他の楽器 を合わせていくこともある。たぶんヒップホップの曲を作るみたいな感じなんじ ゃないかな」

●カサビアンのメンバーはレイヴ・カルチャーと共に育ってきたんだよね?あの 手の音楽はコンピューター・サウンドをベースにしたものが多いけど、君たちが レイヴに取り組む場合、やっぱり音はロックらしいライブ・サウンドにしたいと 思うかい?
「いや、そんなことはないね。ただプレイしてみるだけさ。ワン・テイクで録れ るものもあれば、そうでないものもある。フィーリングや雰囲気がトラックに表 れているか、それが重要なんだ。アルバムの曲はほとんどが数テイクで仕上がっ た。あまり時間はかからなかった。僕らの狙いはバイブを作り出すことだったん だ。こんなにシンプルなことってないと思うよ」

●ツアーを始めてからどのくらい経った?
「去年の二月からノンストップさ。まず日本。それからニューヨーク。Bowery Ballroom。あとはヨーロッパかな。イギリスなんかもう隅から隅まで回った。去 年は130本くらいギグをやったんじゃないかな。正直言って緊張の連続だった。 それまでは40回くらいしかステージに立ったことがなかったんだ。最近だよ。や っと慣れてきたのは」

●最初のころの演奏は酷かった?
「そうでもないさ。僕らは色々と実験的なことに取り組んできた。音の壁を作ろ うとかさ。まあ、経験を積めばもっと良くなるだろうって感じで、開き直ってや ってたんだ。けっこう成功してたと思うよ」

●君たちは最近NMEの表紙を飾ったけど、それってどんな感じだった?
「そりゃ嬉しかったよ。7年も待ってたんだからね。実際、表紙になったのを見 てもまだ信じられないくらいだ。そんなにビッグになったのかって思うんだ。さ すがに連中も僕らについて書かざるを得ないってわけだ。素晴らしいことさ。16 のときにNMEを買ったんだけど、そのときの表紙はRichard Ashcroftだった。い つか自分も表紙を飾りたいなぁ、なんて思ったものさ。そしたら本当に載っちゃ ったよ。写真を見たかい?僕たちはみんな笑ってたろ?少年に戻ったみたいだっ た。誇らしい気分さ」

●今じゃ音楽に興味を持ってない人たちでさえ君たちを知ってるからね。
「確かに状況はすこし変わったね。半年前は誰も僕らなんか気にかけていなかっ た。本当にあっという間の出来事だった。君の言うとおり。今はみんなが僕たち のことを知っている。友達はチケットを欲しがるしね。人気が出るってのは光栄 なことさ。本当に嬉しいと思ってるよ」