じーーーん。
思い出すと、ほらまた涙がでる。




ど〜もご無沙汰しております。
種まき保育家の新田純子です。

今年度から現場復帰して駆け抜けてきた4ヶ月。久しぶりの保育現場ーーーーーー!


もう、溢れてきて、書き出すしかない所まできたわ、これは。
起こることがね、素晴らしいのよ。
ね、もうね、この世は愛のカタマリだーーーー!





今日はトオル君の話。



朝、お母さんが心配そうにトオル君を送ってきた。
「昨日、友達に嫌がらせを受けて、ロッカーにマジックでバッテン✖️を書かれたみたいです。大丈夫でしょうか。」

慌てて言い残してお母さんはお仕事に出かけて行った。


トオル君は年少さん。
1歳の妹と、お父さんお母さんの4人暮らし。




……………………………………………
確かめてみるとロッカーに✖️は書かれていなかった。
消した形跡もない。
……………………………………………


心は何を叫んでる???



大丈夫 。大丈夫。

絶対に大丈夫。

一緒に心の玉手箱を開けてみようね。







お昼寝の時間、こっそりトオル君を散歩デートに誘い出した。

2人でぶらぶらテラスを歩きながら、夏の雲を見上げる。


「トオル君。昨日から妹、新しい幼稚園行きだしたんやよね」
「うん…」
「お母さんも仕事増えて忙しそうやなぁ」
「うん…」
「お父さん、どうしてる?」
「夜勤始まった…」
「そうかぁ。ほんならお父さんも忙しなったなぁ」



妹は待機児童。
役所から繰り上げ入園の通知がやっと届いたけれど、お兄ちゃんとは別の園。
迷いに迷って、お母さんは入園を決めた。
職場に欠員が出て、カバーのためにたくさん働かなくてはならなくなったからだ。
そこに来て、お父さんの夜勤再開。

家族はみな、新しいスタートでバタバタしている。




「トオル君、今なにがしたい?」
「おんぶしてほしい…」




トオル君をおんぶしながら、ゆっくりテラスを歩いた。


しばらくすると、身体のこわばりが取れて背中に溶けるようにもたれかかってくる。



そしてポツリと言った。
「作った話なんやて……アレ」



「そっかぁ。お父さんお母さんいっぱい話聞いてくれたもんねぇ」
「うん。いっぱい聞いてくれた」
「うれしかったねぇ」
「うん」




「けど、しんどそうやなぁ。作った話考えるのって。
だってトオル君、今日は朝からぜんぜん笑って〜へんやんか」

「…………………」



「本当はどうしたいん?」



「おんぶと抱っこしてほしい」


「そっかぁ。
ほんなら今みたいにお母さんとお父さんに言ったらいいやん」





トオル君は泣き出した。
私も泣けてきた。




今、家族はバタバタだ。
皆が変化のとき。
仕事変更・急な入園・夜勤の再開。

こぜわしく、やらねばならぬことに追われる渦中。


トオル君は家族にとっての大事な役を担ったわけだ。



本当に大切なものは「ここだよ」って。



そのエネルギーが彼に作り話を生み出させた。


「変化の時だからこそ、愛する人に根を生やそう!」

ってね。





夕方のお迎えの時間。
お母さんに今日のおんぶデートの話をした。


「本当はおんぶと抱っこがして欲しいって」

と話した途端、お母さんがポロポロ泣き出した。



「あぁ…あぁ…。この子、ちゃんと気持ち話してくれてたのに…。抱っこして欲しいってずっと言ってました。でも、私がギックリ腰で主人は首を痛めて、ぜんぜんできなくって。。。
トオルは保育所にも慣れてるから、あんたは大丈夫。あんたは大丈夫。が口癖になってました、夫婦で。みんながバタバタで………あぁ。あぁ」



私も泣けてた。



「トオル君、天使やねぇ。
今、家族に何が必要か、知らせてくれたんやねぇ」



「その気持ちが作り話になったんですね、きっと」
「お母さん、これって愛やねぇ。感謝やねぇ。
救世主トオル君やねぇ」

2人でポロポロ泣いた。。。


「座ってなら抱っこもできるから、いっぱいしよ!」




そのあと、お母さんはテラスに腰掛けて、トオル君をずーっとずっと抱っこしてた。









この作り話は聞く人が聞いたら「嘘」とも表現できるのかもしれない。


けどけどけどけど、


ほら、心の玉手箱を開けてみると、間違いなく愛でしょ。


出発は愛のカタマリでしょ。


「お母さん、こっち向いてよ!大事なものはこれだよ!」
っていうお知らせのための嘘なんだから。




毎日、子ども達と生活していると
すべての行動が愛発であることがありありと伝わってくる。





それを見てると
私自身も自分は自分でいいんだって思える。



私の行動もすべて愛発だって感じられるから。




だから、保育は素晴らしい!
だから、生きるって素晴らしい!


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