先発投手と言えば完投完封の醍醐味を期待するが(私もその一人ではあるが)今と昔を比べてみて今一度じっくり検討してみたいと思う。
まず先発投手としての誇り高きタイトルと言えば沢村賞。(詳細は割愛、URLにて参考に)
http://m.sponichi.co.jp/baseball/news/2016/10/25/kiji/K20161025013598930.html

過去の優勝チームからどれだけの沢村賞投手が輩出されたかを見たとき、その数はほぼ五分五分といったところだ。巨人に限ってみれば2017,2018と菅野が連続受賞するまで、2002年上原以降14年間受賞者がいない。原第二次政権では10年間で6度の優勝を果たしながら沢村賞投手は一人も輩出していないのである。言わずもがな菅野の連続受賞も優勝は逃している。
その間皆様の記憶に残っているのは勝利の方程式ではないだろうか。抑えは上原→クルーン→久保→西村→マシソン(配置転換)→沢村→カミネロ、中継ぎは越智、山口の風神雷神、安定感のマシソン他、多数の投手が活躍してきた。近年投手の分業化が図られ沢村賞に関しては規定の項目をクリア出来る投手が少なくなってきている中、QS率(クオリティスタート率)を加味する検討もなされている。要するに現状の投手起用と沢村賞はミスマッチの傾向にある。メジャーの投手最高峰のタイトルはサイヤング賞。これは記者による投票で行われるが沢村賞のように先発に限らず全投手対象である。
以上を踏まえた上で先発投手の中6日の登板が果たして理想なのか考えてみたい。
江川、西本、後の斎藤、槙原、桑田の時代までは中4.5日が当たり前。しかも完投率は今よりも高かったし球数も明らかに多かった。その頃に比べてトレーナーの充実、トレーニング方法、疲労回復のツール、遠征時の宿泊、移動手段等、環境は確実に進化しているはずなのになぜ登板間隔は中6日なのか。しかも6人の先発を使う事で1週間で1度しか仕事をしない選手をずっと登録しておかなければならない。これは無駄だと最近思い始めた。ならば中5日で5人で回して(必ず週に1度は中4日になるが)中継ぎか攻撃陣を厚めにした方が合理的だ。中4日なら尚良しだ。先発、特に菅野などは6.7回までで良いと初めから飛ばしていけばもっと投球内容も変わってくる筈である。メジャーのように球数で交代すれば良い。事実、現在もそうしているではないか。ならば完投ありきの途中交代より最初から球数○球最低6回、という起用の方が投手は楽だ。そしてその球数に応じてイニングを増やしたり完投も有りにすれば良い。100球あまりで完投することだってあるのだ。長いシーズンでは苦しい時もありローテーションの谷間も出来る。そんな時こそ有望な若手や先発待機している投手を起用した方がチームとしてもプラスになるのではないだろうか。今年は中継ぎで活躍したが、先発投手でいわゆる高卒の叩き上げの投手は田口だけ。中5日論は若手育成のチャンスにも繋がると考える。ローテーション投手が早い回でKOされる事もある。そんな時は次回ローテを早めに回せば良い。勝てる投手の登板数を増やすことはチームの勝利数に繋がりそして優勝に繋がる。チームは沢村賞の為にペナントを戦っているのではない。頼りになる柱がいれば、不安定な5人目6人目の先発を作るより、安定した4人か5人をしっかり使っていく方が勝利への近道になるのではないか。
120,130球そこそこで中6日、絶対に休みすぎである。中6日は完投が前提の間隔。もうそんな時代ではないような気がする。事実今年最多勝の山口は完投が一度も無いのである。
そして実際に最近の沢村賞投手はおしなべてメジャーに行っている。彼らのメジャーでの登板間隔はどうだろう。日本より試合日程や移動がハードな中で出来るのならば日本でも出来るはずだ。
沢村賞と最優秀中継ぎの賞が併設されている事こそ、そもそもの矛盾である。
付け加えるならば高校野球の球数制限を問題にするのならば、先発完投型の投手に与えられる沢村賞は既に時代錯誤と言える。先人に対するリスペクトは残しつつ賞の中身を変えていく柔軟性も必要なのではないだろうか。
先発投手のあり方を今こそ真剣に考えるべき時なのかもしれない。