救世主たる者が西の空で生まれたらしい。私達はそれが真実であるかをこの目で見なければならない。将来待ち受ける受難を、我々の代わりに引き受ける者であるかを。
私達三人は、この世界に必要な救世主が生まれることを見届けなければならない。蒼天の涙が存在する今、救世主が現れるのは必然である。この旅は世界にとって、重要なのだ。
風が変わった……救世主が居る場所は近い。まもなく、私達は救世主に対面することとなる。無論、救世主が本物であればの話だ。私は本物であると信じているが……。
ああ、この空気、このオーラは本物だ。間違いない。ならば私は没薬を贈ろう。受難と死の象徴である、没薬を。この者はいつか蒼天の涙を手にし、我々を救い出すであろう。