とある冬の朝、私は一人の少女に出会った。雪の残る森の中、季節に似合わぬ薄布をまとい、甘い香りを漂わせた少女に。
こんなところで、何をしているかって？いやだわ。わたし、待っていたのよ。あなたのことを……。彼女がそう言った瞬間、あたりの気温が急激に下がる。
彼女を中心に、森の木々が凍っていく……彼女がそっと私に唇を寄せた瞬間、思い出した。「氷の精の求愛を退け、口付けた相手を氷にしてしまう呪いにかかった少女の話」……
暖かさを感じて目を覚ますと、あたりは一面鮮やかな春の花に囲まれていた。彼女が笑っている。氷はもうどこにもない……どうやら、彼女の呪いは解けたようだ。