南国の、じっとりと濡れた空気、むせ返るような花の匂い。深い森の中、村を探して彷徨う最中、私は炎と共に踊る女の姿を見止めた。これは夢だろうか？
彼女は一体誰なのだろう？炎の向こうに問いかける。しかし私の声は届かないのか、彼女は踊ることを止める気配がない。それとも既に気づいているのか……？
目と目が合う。何かを問うようなその瞳に、炎が宿る。私の姿に気づいた後も、彼女は踊ることを止めない。その指先が、熱を持った空気を柔らかく切り裂いてゆく……
そういえばこんな話があった。死んだ夫の火葬の炎に身を投げる女……思い出しながらも、私は彼女から視線を外す事ができない。彼女は踊り続ける。暗い瞳に炎を宿し、艶やかに笑んで。