語学学校へ通い、水曜日と木曜日はクラブへ行き、金曜日と土曜日は溜まり場のパブで飲む、といった生活をおくっていた。
執着心だけが残る、切なくお粗末な恋をしたあと。
わたしは少し壊れていた
覚えたてのとんちんかんな英語を喋りまくり、酒の席では社交的になれた。
自覚はないが良くも悪くもわたしは目に付く存在らしい。
ある意味、わたしはもう孤独ではなかった。
ある木曜日の夜、わたしは友人の1人に夕食に招かれた。
サユミは日本風の天ぷらを作ってくれた。
得体の知れない野菜も入っておらず、懐かしい味がした。
『美味しかった?お腹いっぱいになった?』
『じゃあ早めにクラブへ行こか。』
『今日あんたのこと紹介して欲しいって言ってるカナディアンが来るねん。』
道中サユミはとても無愛想に言った。
『友達の彼氏の友達やから、私もよく知らんねけど。頼まれたから。』
この手の話は何度もあった。
下心を包み隠さずわたしに近づいてくる男達。
わたしの出来事ほとんどに興味をなくし、ただ防衛意識の塊だった当時のわたしは、
ハァ、そうですか。
とだけ返し静かに歩き続けた。
早い時間にもかかわらず、中は人で溢れていた。
顔見知り達と一言二言交わし、数杯酒を飲みフロアへ出た。
こんなに人はたくさんいるけれど、どうせすぐみんなわたしのことなんて忘れちゃうんだろう。
わたしの日常がはじまっていた。
『HELLO』
突然、背後からとても低い声がした。
『I'm Nicolas. Nice to meet you.』
大きな大きな人がわたしを見つめていた。
『彼だよ。たいしたハンサム野郎だろ?』
そばにいた顔見知りのダニエルが、にやにや顔でこっちを見ていた。