
彼はふらりと現れてわが家の周りを縄張りにしました
まだ、あの頃にはお向かいに古い小さなマンションがあり
おばさま達が白い猫に、カマボコなんかを与えていました
寒い冬のある日、段ボール横にじっと座り
必死に暖まろうとしていた彼をみて
叔母と母で「冬を越せるように…」と
ハッポウスチロールで小屋を作りました
とても人懐っこい、良い子だったのです。
寒い夜には
小屋に湯たんぽを入れてあげました………。
ある雪のちらつく寒い日
私が帰宅すると…………
顔が血まみれの白い猫が近寄ってきます
そうです。
縄張り争いでした。
温かい小屋を狙われていたのです
彼は抱き上げても
とてもおとなしく良い子でした
私は、そのまま保護を決意して自宅に連れて帰りました
それが彼との生活の始まり
顔の治療、去勢手術、ワクチンに検査。
クリアした彼はわが家の子に。
数年後に
一度の脱走、再度捕獲。
その頃には歯が悪くなっていて
歯槽膿漏、歯をほとんど抜きました。
それ以外は病気もなく
わが家で穏やかに生活を共にしてきました。
わが家に来て16年近く…………
実際の年齢はわかりませんが
楓よりも高齢だったのかもしれませんし、若かったのかもしれません
きっと大切に飼われていたに違いない
人懐っこい
野良にしては上品な子でした
外の世界の自由さを忘れられずにいたのか
良く窓から景色を見てました
ストレスからか
毛づくろいをしながら、自分の毛をむしり出したり
野良のままがよかったのか……
悩みました
けれど、あのままでは生きてゆけなくなっていた。
現在、お向かいさんは一軒家になり新しい家族が住んでいます。
杉ちゃんは高齢になり
ご飯がだんだんと食べれなくなっていました

私が連れてきた。子猫を育て。
見守り、面倒をみて、教育したのは彼でした

いつも中心にいたのです
ご飯を食べる量が減り………
体重も減り…………
寝ている時間が増え………
時々、水呑場の前に、長時間ぼんやり座り込むようになり
トイレの箱に足がひっかかるようになり
段の低い浅いトイレに変えるも外にするようになり
とうとう
動けなくなりました
シリンジでお水とご飯を口に……
食べれる日には2時間おきに、スープ状のご飯を与えて
食べやすくスプーンですくい
口に運んであげました
日々体が冷えていきます
湯たんぽを追加購入して、
彼の好きな場所に入れておきました
目やにがひどいから
顔も綺麗にふきました
呼吸がひどく小さくなりました
呼びかけても
鳴きません
その日はお昼に休憩時間を利用して、湯たんぽを新しくするのに帰宅しました
寒かったから…………
新しくした湯たんぽに移動してあげて
体にタオルをかけて
大好きなノドをなぜて
手を摩りました
「杉ちゃん、あったかい湯たんぽいれたよ」
「寒いね」
「お水飲む?」
「今日は何食べようか」
「体、痛くないかい?」
おっきな手が、ギュウッと何回も握り返してお返事してくれます
それが
杉ちゃんとの最後の時間でした
仕事を終えて帰宅すると
すでに、冷たくなり硬直した彼を見つけました
おそらく、私が仕事に向かった直後に旅立ったのでしょう
もう少し
居てあげればよかった
抱っこして送ってあげたかった
とても
とても
悔しく悲しい…………
そんなお別れになりました
27日
火葬場に行き見送りました
綺麗な綺麗な真っ白の彼は骨もとても綺麗でした
骨格がしっかりしていたおっきな子だから
猫用では、納まらずに
犬用のツボに……………
話し合いの末に
お骨は持ち帰りました
寒いのが嫌いな杉ちゃんだったから
春になってから埋葬します
ありがとう杉ちゃん
大好きです。






