
3.近視眼バイアス~近道で結局損する~
①と②の選択肢があります。どちらを選びますか。
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①10Kgのお米を1週間後にもらう。
②5Kgのお米を今もらう。
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多くの人は②の「今の5Kg」に魅力を感じてしまいます。
人は、合理的で自分の利益の最大化・最適化を図るように行動する、という理論があります。しかし、
実際の振る舞いは、そのようにはならず、
そのときの感情や心理状態に大きく左右されてしまいます。
感情は「今、もらえる」という近視眼的なところにフォーカスされて
合理性を閉じ込めてしまうわけです。
では、以下の場合はどうでしょうか。
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③1年後に5Kgのお米をもらう。
④1年と1週間後に10Kgのお米をもらう。
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この場合だと、ほとんどが③を選びます。
同じ1週間でも、至近距離にあるそれと、遠くにあるそれとでは、
受け取る感覚が全く違ったものになる。
人間の感情・心理は複雑ですが、目の前にあるものほど
それらを左右する力は大きい、と言い方はできますね。
4.参照点バイアス~本当に安いの?~
人はなにかの価値を評価する場合、絶対的な基準でそれを行うのではなく、
ある参照点からの変化率・参照点との比較で評価をする、ということです。
例えば...①
ボーナスで¥300,000もらいました。
参照点が「ボーナスは¥250,000くらいかな」と予想し
¥300,000を支給されると「¥50,000も多かった」と思い得した気分になります。
しかし...
参照点が「ボーナスは¥350,000くらいかな」と予想し
¥300,000を支給されると「¥50,000少なかった」と思い損した気分になります。
家電量販店などに行くと、「メーカー希望小売価格」と表示されていますが、
これをまともに信じていては、まだまだ「お金のリテラシー能力」が低いと言わざるを得ません。
そんな人には「メーカー希望小売価格」が参照点に見えるので、数万単位でディスカウントされていれば、
「こんなに安いんだ」と感じ、購買意欲が刺激されてしまいます。
この参照点バイアスを使った販売戦略によって、
多くの消費者はまんまと罠にはまっている、というのが私たちの現状です。
最近あった具体例としては
2014年4月、消費税が5%から8%へ引き上げられました。
消費者は引き上げ分の3%がプラスになった商品価格を思い浮かべ、
それを参照点にし、商品をたくさん買いました。
しかし消費税があがった4月から、その商品は消費税が上がる前より値下げしちゃいました。(なんとも損した気分です。)
5.同調性バイアス~みんなで渡れば怖くない~
「みんながしているから、同じように自分もする」
誰にでもありそうな心理ですが、そこに落とし穴があります。
ある学生寮で火災報知器を鳴らし、煙を出して擬似火災を起こしたときの学生たちの行動を観察しました。
・部屋に一人でいた学生は、5名全員が火災報知器がなってからすぐにドアを開けて、何かが起きていないか確認する行動を起こした。
・部屋に2人でいた場合は、4組のうち1組だけが火災報知器の音で確認行動を起こし、他の3組は煙に気付いてから行動した。
・食堂にいた19人の学生は、3分間、全員がなんの行動も起こさなかった。
複数で一緒にいるときは、「みんながいるから・・・」という安心感から、緊急行動が遅れる傾向がある、ということです。
「気づけばみんな持ち家を買っている。僕もそろそろ・・・」
「もう30歳を過ぎてしまった。友達はほとんど結婚しているから自分も相手を見つけなければ・・・」
といった具会です。
同調性バイアスはさまざまな「浪費」をそそのかすのです。
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以上、5つのバイアスについて説明しました。
バイアスによって お金に見放される、お金を失う結果になることが、
けっして少なくはないことは事実です。
これを知っておくだけで、お金との付き合い方に「変化」が起こる気がしませんか?







