このドクターはレトリバー2匹を飼っています。もちろん、患者からの保護犬です。今回はそのお話で長いです。





一番好きなのは
食べること。
もっと好きなのは、
カフェで食べること。

同じくらいに好きなのは、
海で泳ぐこと。

その次に好きなのは、ご主人様の私。
その次に好きなのは、2歳年下のルーくん。
とても仲良しで家の中で転がり遊びをしています

シェが二か月前から冷たいモノを食べると吐くようになりました。
気をつけてれば吐きません。
だから、安心して見ていました。

とても食欲旺盛で、
9月でも泳いでました。

数日前から夜間に咳をするようになり、
一昨日吐きました。
心配になり、
昨日かかりつけの先生に。

血液検査と、胸のレントゲンと、腹のエコー。

結果はステージ4
末期がんの、肺内多発転移でした。

とても悲しくて悲しくて。
昨日から落ち込んでます。

普段仕事として看取りをしていることを紹介していますが、勝手なものですね。

愛犬の看取りとなると、
話は別です。

これからの毎日、
淡々と看取れる自信はありません。

でも1日1日、声かけて、撫でて、
カフェにたくさん連れて行こうと思っています。

人間のステージ4とまったく違って、
10歳犬とは思えないくらい元気に飛び跳ねてます。
そしてよく食べます。

でも残念ながら進行は速いらしいです。

進行のスピードに私の心の持ち様が追いついていけるか?

看取りのプロだから、と自分に言い聞かせています。

もうダメだ 
一瞬そう思った。


昨日はいつもより20分早く帰った。
帰るとシェがしっぽ振って玄関まで走ってきて迎えてくれる。これが毎日のならわし。
一日の疲れが癒やされる瞬間。
ルーちゃんは微妙で、台所あたりでボーッと迎えてくれる。


「いつもより少なめの散歩なの」
「すぐに帰りたがる」
妻からの報告。

ふたりが夕飯をカシャカシャと音を立てて食べるいつもの音を聞きながら、ビールを開け、残り仕事の書類片付けてたら、息子から電話。



「8時頃行っていい」「イヌたちに会いたいから」
別に病状を報告したわけでも無いが、二か月ぶりに対面。前回は一緒に海で泳いだ仲。


二人のイヌたちが大好きな息子が来るのはどうもにおいか雰囲気で分かるらしい。
この時はルーちゃんも脱兎のごとく、シェと競走で玄関に走る。

いつもシェの方が速い。
走って息子の前におすわりした、その瞬間からシェの意識が低下し始めた。

目の焦点が完全に合ってない。
慌ててみんなでシェをリビングに。
かろうじて自分からカウチに上がるその足つきはもういつもの軽やかなシェとはほど遠かった。

次第に目を開けなくなり、反応が低下、おなかが見る間に膨れ上がって来た。

まさか、もう?

人間でも、最後まで聴覚は保たれているので、同じに違いない。

垂れ耳を捲り上げて、「シェ」「シェ」。

「ありがとうね。よく笑ったね。楽しかったよ。ウチに来てくれてありがとうね。」

涙、涙で話しかけた。

それから一時間半、妻と息子と私、三人でからだを撫で続けた。

腹をなでられるのが大好きなので、私はひたすら腹を。

急変してからどんどんふくれた腹の膨らみが止まった。
「おそらく出血が止まったんだろう」

それから20分くらいが経過。
呼びかけに反応する目の焦点が合い始めた。
首を上げてコチラを見てダルそうにまたクビをおろした。
立ち上がり、カウチをおりて冷蔵庫に向かって歩いたのはそれから2、3分のこと。

妻が冷蔵庫を開けたその瞬間の出来事だった。さすがのシェにびっくり。

朝、散歩に出たらすぐウンチとオシッコ。歩きたがらないので直ぐ帰宅。

呼吸数はルーの2倍の46/分。
多発性肺内転移のため頻呼吸。

それでも、私の朝ごはんを狙って、いつも通り。出勤時のお見送りのご褒美ももらってルーに後ろに直ぐに伏せてしまった。

これからもこんな風にびっくりさせて、悲しませて、少し安心させてくれて、そんなのでいいから、苦しまないで一緒にいてほしいです。

明日は大好きなカフェに連れて行きますよ。
晴天、小春日和の横浜、みなとみらいのハンマーヘッドと赤レンガのカフェのハシゴをして来ました。爆笑


昨晩は夜半から体調が悪く、
全く寝ようとしないシェ。
ピィピィと切なく泣きます。

部屋の中をウロウロと落ち着きなく歩き回り、身の置き場が無さそうなので、
1:30に外に連れ出しました。


数分後にオシッコ。
でも、ウチに帰りたがりません。

突然、路上にゲロっと。
その後しばらくソワソワと家の周りを歩いてから、自分からおウチに戻りました。

が、まだ私の布団の周りをウロウロ。
全く寝る気配無し。

2時過ぎに枕元にゲロっと、二回目。
夕飯全て出ました。
で、カフェ無理かなとあきらめていたのですが、
嘔吐後スヤスヤ。


朝ごはん後も大丈夫そうなので、意を決してお昼にハンマーヘッドへ。
シェがお気に入りの場所です。

呼吸は少し荒いですが、笑顔いっぱい。
行くことができて良かったです。

診断は脾臓原発の血管肉種。
ゴールデンやラブラドールレトリバーに多い。
肺に転移しやすい極めて悪性で進行のはやい病気です。

先日の一過性ショック状態は脾臓からの腹腔内出血。

命を一時的に取り留めての今日のカフェ。

もう健康食なんか全く考えずに食べたいモノを吐かない態度に食べさせてあげることだけ考えます。

あと何週間一緒に居られるか分かりませんが、一日一日を大切にして撫でてハグして愛してあげたいです。




この話を読んでいて、やはり人間も犬も同じで愛を知る先生なんだなと感じていました。

私も以前、4代に渡りシェルティーを飼っていて同じ思いをしたことがあります。いや、動物すべてを飼う人たちが同じ思いをしていることだと思います。

長くてごめんなさい。

写真は別の犬です。