僕は黙ってヒョンの隣に座り、窓から見える空を眺めていた。
もう下は雲に隠れて全く見えない。



隣を見ると、イヤホンをつけながら楽しそうに、ガイドブックなんかひろげて見ている。




「ねぇ……」

僕が話しかけるとヒョンはこっちを見た。


「…ん?なに?」

なに?じゃないよ…まったく…



「飛行機に乗ってから説明するって言ったでしょ?!早く説明してよ!!
なんで僕がヒョンと一緒に行かなきゃいけないの?!」


「ああ…」

ヒョンはまだガイドブックに目をおとし、そのまま話し続けた。


「…兄貴が来れなくなっちゃったから、かわりにチャンミン誘ったんだよ」


「…は?」


しれっと、なんてことない口調で話すジュンスに僕はなんだかあきれて、口をふさげないまま見つめた。


「急だったから誰も誘えないし、でもせっかく予定してたから行きたいし…
メンバーだったらすぐ来れるかな?って思ったからさ…」



なんでよりにもよって僕なんだよ。



「…ユノヒョンは番号変わってるし、ジェジュヒョンは電源きってるみたいで全然つながらないし、ユチョンは予定があるみたいだったから…」



「…で、残った僕にしたわけだ」
少し大きめのボリュームで音楽を流しながら、ベッドに横になり、心地好い状態で思考をストップさせようとしていた。

こんな、なんてことない時間が僕には必要なんだ。
そう言い聞かせるように、目をつぶり、心からリラックスしようと身体の力を抜く。



そのまま眠ってしまいそうな中、不規則なメロディーが頭の中に入り込んできて、意識をだんだん覚醒させていく。

それが携帯の着信音だと気づくのに、しばらくかかった。




「……っもしもし?」


着信音はかなり長い間なっていた。
慌ててでた為、誰からか確認してない。


「なんだよ~、やっぱりいたよ…
おっそいよ、でるの!」

「…は?!…だれ?」


いきなり話されて、僕はイラッとしていた。

「え?何おまえ、俺の番号登録してないの?!」



…だんだんと頭がはっきりして、携帯の表示を恐る恐る見る。


「…いや…寝ててすぐに携帯とったから…
ヒョンどうしたの?」

「…まぁいいけど…今何してる?寝てたんならヒマだよね?
今からすぐ来て!持ってくる物言うから!」


僕は、反射的に近くにあった手帳をつかんだ。



「…ユノヒョンは、何するの?」


ユノは、僕の様子を少し心配したかのような表情をしていたが

「いろいろやりたい事あるけど…
なんかあっという間に終わりそうで、結局何もできなそうだよ」

そう言って笑った。


「でも…」

「え?」

「…ちょっと行きたいところがあるんだ」

ユノは意味ありげに笑顔をつくって言った。

「どこ?!」

僕は反射的に聞いた。


「…ひみつだよ」

「なにそれ?!ジェジュヒョンと同じ事言ってるよ!」

僕が少しムッとして言うと

「え?ジェジュンのひみつって何?!」

ユノはそう言いながら、ジェジュンをキョロキョロ探して楽屋から出ていってしまった。



「…チャンミンおつかれ~
お互いゆっくり休もうな。身体に気をつけて、怪我しないように!」


ジュンスが僕の肩をかるくたたきながら、楽屋の扉を開けて出ていった。