僕という一人称僕は僕といったとき、素朴な自分を感じる。それは僕でも誰でもない自分だけど、僕は僕という柔らかな語感に、他人を包むような温かさを感じる。私は私といったとき、少し改まったような自分を感じる。大人になれば男性だって私といい、女性のものだけだった一人称が、皆んなの一人称へと変わる。小さいとき、私が私といっておめかししたような自分は、私を認識した相手のなかの無邪気な自分の不在と、一方で孤独な無邪気さを大袈裟に表現する自己の幼さとを、実感するのであった