仮住まいへの引っ越しの際に、引っ越し業者に不用品処分を
頼んだ時のエピソードである。

捨てるものの中にガラスケースに入った日本人形があった。
これを捨てるんですか、と担当者が聞き返した。
ガラスがダメなのかと思ったら人形本体がダメらしい。

「人形は供養しないといけないんですが、うちで供養はやってません」
「いや、供養なんてしなくていいんですよ。処分してください」

人形に魂があると感じる人は多いし、愛着があればなおさら
ゴミにするのは忍びない。こうした気持ちは分からないではない。
自分も母の遺品の和服をゴミに出せなかったから。

でも自分にとって人形は単に不用品だ。処分してもらわないと困る。
粘ってみると、引っ越しの担当者はコッソリこう言った。
「引き取りの産廃業者に人形だと分からないようにしておいてください」

ガラスケースから取り出し、梱包材でぐるぐる巻きにして
中身が分からないようにした。

ホントは姿かたちで人形であることはバレバレなんだけど、
こうすれば黙って引き取っていくのが『お約束』のようである。

実は他にも人形はあって、段ボール箱入りのまま持って行ったけどね。


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