貴方と出逢った日を今でも覚えてる。

はじまりなんてたいしたことなかったのに、

気づけば、貴方の隣が当たり前になってた。


私の知らない貴方を発見しては、心が躍って。

前に伸びてる影が仲良く並んでいるのを見て、嬉しくなったり。

貴方の誕生日プレゼントを考えてる時間が楽しかったり。


貴方の笑顔が見れたら心がこんなにも温まるなんて。

貴方に名前を呼んでもらえるだけで、自分の名前が特別なものに聞こえるなんて。

貴方の隣にいられれば充分だった。だけど‥


いつからだろう。

貴方の笑顔に不安を覚えたのは。

違和感がぬぐえない。


貴方の心に怯えて、

不安で、苦しくて、切なくて。

泣き出しそうになる。


近くにいるのに距離を感じて。

信じたいのに疑ってしまう自分に嫌気がさして。

気づけば、うまく笑えなくなっていた。


こんな風になりたかったわけじゃない。

自分の気持ちさえ見失ってしまいそうになるなんて。

どこから間違えてしまったんだろう。


貴方の目に私はどう映ってる?

あの頃と同じように見えてる?

あの頃と同じように好きだと言ってくれる?


怖くて聞けない。

気づかなかったフリをして、そっと胸の奥にしまいこむ。

奥へ、奥へと。


貴方の隣にいる時間が減ってきたある日。

久々に貴方からの約束。

いつかする約束だと少し前から、なんとなくわかってた。


貴方は最後まで優しかった。

だから、私も精一杯の笑顔で、貴方の本音を受け止める。

上手に笑えてたかな?


小さくなっていく貴方の背中。

見えなくなるまで見届けたいのに、

まるで水の中にいるみたいに、世界がにじむ。


本当は追いかけたかった。

本当は嫌だと駄々をこねたかった。

本当は、上手に笑いたくなかった。


幾多の想いが私を包む。

貴方と出会わなければ良かった。

好きにならなければ良かった。


こんな気持ち、知らなければ苦しまずに済んだのに。

中途半端に優しくしないで。

お願いだから、貴方のことなんか大嫌いだと思わせて。


なんて。‥‥本当はわかってるの。

どうしても、貴方のことを嫌いになれないってことも。

たとえひと時でも、あの幸せな時間をくれたのは貴方だってことも。


貴方を想い、嬉しい時も、悲しい時も、

胸がしめつけられるような、そんな不思議な痛み。

教えてくれたのは、他でもない貴方でした。


ちょっぴり悔しいけど、

やっぱり貴方を好きになってよかった。

たくさん、たくさん、ありがとう。



愛しい人へ

感謝の気持ちを込めて

さようなら