古希過ぎて もう後は男子の平均寿命まで生きるだけの毎日かと思うと なんかずっと もやっとしたものが 心の中にあるのが気になる
一体これはなんなのか? 現状に満足してないからと言えばそんなことは全くない。
今年の4月からは 5人いる孫のいちばん上の女の子が 東京の私立の女子中学 謂わゆる御三家と言われるところの・・蔭に通い出して
将来の楽しみが出来たと喜んだものだ。この孫は私の還暦の年に生まれた つまり本卦還りの時の子なので 特別に愛おしいわけだ
その上 学業が飛び抜けて優秀なのでその子の父親ともに私の誇りだ
私自身は 連れ合いと42年間住み慣れた家をたたんで他県某市の駅前マンションに終の住処を定め さあ全国漫遊でも始めるかと意気込んでいるところなのだが… でも心の中になにか引っかかるものがある
……………
先日 毎年送られてくる卒業高校の同窓会報がとどいて
あんまり興味もないけれどパラパラとページをくってみたら
卒業年度の つまり22回生の同窓会の集合写真が出ていた
どれどれと目をやった瞬間 あれっと思った顔が、ああ!えみちゃんだ!50年以上前の顔しか知らないのに一目見た途端 それが高一のときに告白した彼女だとすぐに分かった ああ懐かしいな!その瞬間に心のモヤモヤと存在していたのは彼女だったと悟った。
こちらから一方的に告白しておきながら あとは何にもなしで
本当に彼女には悪いことをしたと今も思っている。
思い返せば 高校に入学して直ぐに同じ組になった彼女を見て
一目惚れしてしまった 今の有名人で言えば 中江有里似のとても
可愛い女の子だった もう居ても立っていられなくなったが
でも口下手で内向的なB型蟹座の私には とても面と向かって友達に
なってくださいなんて言う勇気もない ああなんとかしたいと暫くは
勉強そっちのけで 悶々としていた。
ところで当時は今と違ってプライバシー保護なんて考えは世間的にも少しもなかったので 入学して暫くしてからクラスメートの住所録が配られたんだ。そうだ手紙を出そう まだ彼女のことは何ひとつ知らないのに 一言も喋ったこともないのに いきなり手紙を送りつけるという素っ頓狂なことをしでかしてしまった 今思えばこれって 大いにリスキーなことだよな 何にも知らない同じクラスというだけの男の子からこんな手紙が送られてきたと 女の子の間で回し読みされる危険性は少なからずあったのにね、しかもご両親の目に触れるかもしれないのにね でもそんな心配は全くいらなかったのだ すぐに返事が来た 私は 一目見て君のことが好きになってしまいました 友達になって下さいとか書いた記憶がある。
手紙を投函してから2日後だったか 我が家の郵便箱を覗いたら
可愛い封筒が入っていた 裏を見たら ・・・恵三子とある
きゃあ!!返事が来た! でもきっと いきなり変な手紙を送って
来ないでくださいとの抗議の返信だと思って開封したら
なんと 「どうも有難う、とても嬉しいです 宜しくお願いします」と書いてあった 10回ぐらい読み返したが確かにそう書いてある
しばらくは きっと悪い冗談だとしか思えなかったが
彼女が私のことを判断するとしたら 入学してすぐにあった校内実力テストで450人中20番になって職員室前に貼り出されたのを見たことぐらいしかない 勉強好きな真面目な男の子とでも思ってくれたからかね 成績の方はその後は卒業の時まで10番以内を守ったが。
返事をもらったあくる日だったか 授業の合間の休み時間に
斜め前の席から振り向いて私の方に向かって にっこりと名前通りの
笑みを送ってくれた もうそれだけでドギマギしてしまったのを50年以上過ぎ去った今でもはっきりと覚えている。
正直に言えば それまで女の子と満足に話したことが一度もなかったのだ どうしたらいいんだよ? その時に頭に浮かんだのは高ちゃんのことだった。
話しはずっと遡って小学生の頃 担任のお気に入りの優等生で
・・高一という友達がいた この高ちゃんの家に近所に住んでいた
クラスでも一二を争うほど可愛かった・・訓子さんとか・・裕子さんが いつも遊びに来ていたんだって 私の家は彼らからはずっと
離れていたから そんなことは知る術もなかったんやが 高ちゃんは
事あるごとに あれこれと私に喋っては いつもどうや羨ましいやろと言っていたもんだ そんなんをいつも聞かされていても 僕には
無理だなあと思うだけだった。
どうしたらあの頃の高ちゃんのように 気軽に女の子に接する事が
出来るんだろうかと考えたんだけれど
やっぱり性格の違いかな 私には高ちゃんのようにはなれないわ
でも 学校で彼女の顔を見ているだけで幸せだった。
ある日の放課後、私は高校へは電車通学だったんやが、駅前の本屋で
立ち見をしていたら ふと横を見たら彼女が居るのではないか!
その瞬間 赤面してしまって しどろもどろ その後どうなったか
何も覚えていない たぶん逃げるようにして帰ったんだろう
本当にどちらが女の子か分からんわ わざわざ彼女の方から話す
きっかけを作ってくれているのに
そうこうするうちに、と言ってもなにもないうちに
高校一年が過ぎて行った ところが2年になった時 なんとクラス替えがあって 彼女は9組から4組に行ってしまったのだ
ああなんてこったと思ったけど どうしょうもない
帰る方向が同じなら一緒に帰ろうとも言えるんだろけれど
正反対の方向だから それも言えないし 休みの日にどこかへ
遊びに行こうなんて言えるはずもないし 遂には年賀状だけのやり取りだけになってしまった。彼女が私のことを知るのは 校内実力模試でいつも貼り出されていた私の名前ぐらいか
そんなんで貰った年賀状には
高校生活最初の冬休みですね
どのような毎日を送っていらっしゃいますか
貴方のことだったらもう宿題も済ませたでしょうね
今年も大いにハッスルしてください
たまには外を走り回るのもいいわよ 今年もどうぞ宜しく。
去る者は日々に疎しではないが 毎日彼女の顔を見ていないと
もうこのままでもという気になってしまった
それにもうひとつ 9組から4組に移った中に Sという私と正反対のスポーツマンタイプの つるの剛志似の男もいたのだが 風の噂で
どうやら彼女は Sが好みだってのが聞こえてきたんだ。
勉強だったら負けないが 男っぷり勝負なら完敗だ
私はすっかりそれを信じ込んでしまって やっぱり女の子ってカッコいい男に憧れるんだよなと痛感していっぺんに 彼女への熱が冷めて
しまい今までとは正反対の感じを持つほどになってしまった
それでも何故か年賀状だけのやり取りはずっとあって大学4年の時まで続いた。
