1位:半田小鉄

 まずドラ1を半田に決めたプロセスからだが、第一に安定して30~35本が期待できるバッターであることだった。
岡本や村上はまず間違いなくG2で消えるだろうし、こちらに残るとすればウォーカーや本場、そしてこの半田くらい。
 

 投手に関しては上位のずば抜けた選手(由伸、佐々木、平良など)を除けば年ごとにブレが出るし、希少性で言えば確実に長距離砲の方が上と考えた。

 第二にサクセス選手がどんどん消えていくと見ていたこと。
これに関してはG1に12球団縛りがある時点でどのチームも同じ課題を抱えてはいるが、自由度が段違いのG2チームが真っ先に上位のサクセス選手を指名していくのは容易に想像ができた。
そういった意味でも、ドラ1枠を使ってでも確保していく意義はあったように思う。

 第三は(おそらく)競合しないであろうということ。
上記に記した通り、ドラ1で行くのは「長距離砲」かつ「サクセス選手」とあらかた決めていた。
 

ここで候補になってくるのは本場or半田になってくるわけだが、両者のスペックを考えたときに、間違いなく人気になるのは本場(粘り打ち搭載、複数ポジションなど…)だろう。
 

 実質外野しか守れない半田より本場に行きたかった気持ちはあったが、競合して外した時のリスクを考えると怖さもあるのは事実。

 

 G1のおじいちゃんのことだし、使い勝手がいい本場に寄るだろうと見て半田に行ったわけだが、本場が2球団競合になったのを見てホッとしたのは言うまでもない。

2位:グリフィン

 失敗…とまでは言わないが、もう少し何とかなったような気もする。
 

グリフィン自体はしっかり抑えてくれるし、能力的には何の問題もない。巨人枠が埋められる点もメリットではあるが、さすがに2位は高かった感じも…。

 

 この時点でまだ加藤貴之が残っていたし、日ハム枠もそんなに潤沢ではないならこちらを優先すべきだったように思う。

3位:森下暢仁

 床田・九里と広島の先発が指名されて少し焦ったのは否定できない。
 

 広島の野手が軒並みアプデで弱体化(小園とかマクブルームとかデビットソンとか…)され、西川もドラ1で抜かれてしまった。
 

 今回は投手で広島枠を埋めるしかないと考えていたため、残っている中で一番マシな森下を指名。
 

 森下自身もビックリするほどは抑えてくれないが、年間2点後半~3点前半くらいで安定して回ってくれるのは評価点。

 

 坂倉をピックするのはさすがに順位が高い気がするし、栗林と矢崎は言わずもがな。
 

 このあと少しして栗林がそれなりの順位で指名されたのを見るに、3位森下はそこまで悪くないかなと感じている。

4位:塩見泰隆

 そろそろセンターラインの選手が欲しいな~という思いとヤクルト枠を埋められるという両方の思惑で指名。
 

 アプデでケガFは付いたが幻想なら関係ないし、1番でも3番でも埋められる汎用性は随一。
 

 長打力、機動力、そして守備力を高い水準で備えた選手を獲れたのは大きかったように思う。

5位:石川昂弥

 本当のことを言えばここで小平に行きたかったのが本音だったが、あえなくG2で先手を打たれる形に。
 

 半田に続くポイントゲッターに的を絞って、アプデで大幅強化をされた石川を確保。

 

 調子極端持ちで下振れが大きいのが難点ではあるが、弾道4+パワーB+広角はかなり強力。
 

 上手くいけばナゴドでも30本打つシーズンもあり、ベルーナならさらなる向上も見込めそうで期待大。
 

 中日枠を早い段階で埋めることができたのも大きかった。

6位:鎌苅善二

 外崎・吉川・菊地と現役の二塁手候補がどんどん消えたのもあり、ここら辺が限度と見て鎌苅を選択。
 

 小平よりパワーレスなぶん打率も思ったほどは伸びないが、それでもAH+ミートAは魅力的。
 

 守備もCあって水準程度には守れ、やろうと思えば外野にも置けるのも○。
 

 予想外だったのはこの後思ったより二塁が消えなかったこと。もう一巡待っても良かったかな…。

7位:平野佳寿

 平野自身の話より先に、西武本田がG2で消えた話をしたい。
 

 最初、「西武とロッテはリリーフ枠で埋めればええやろ(ニチャア」という甘々な考えを持っていたが、狙っていたロッテ西野は5位で消滅。
 

 ここでも「まあ本田はもう少し下やろ…」とまだ高を括っていたのだが、G2できっちり抜かれてしまい、若干狼狽気味であった。
 

 そんな状態でリリーフドミノに乗ってしまった感は否めないが、なんだかんだ信頼できる抑え候補を獲れたのは良かったのではないか。
 

 奪三振がはく奪されたのは痛いが、その代わりに逃げ球が付いたので実質相殺。調子安定でブレも少なく、信頼できるリリーバーとして前回に引き続いて活躍してもらいたい。

8位:中野拓夢

 今大会は二遊間が豊富になったとはいえ、そろそろショートも考えなければならない頃合い。
 

 小山や六本木、建石らサクセス組も消え、枠縛りもあるG1ということを考えて現役から中野をチョイス。
 

 本当は平野のところで牧原という手も考えてはいたが、ショートの守備力がB→Cになったこと、すでに6位の時点で鎌苅を指名していたこと、そして前述の通り本田を獲られて動揺していたことなどにより見送り。
 

 エラー持ちかつ捕球Fと不安は抱えるが、水準以上の守備と弾道3を兼ね備えたショートはそうそういない。
 

 上位を任せるには重いが、下位からチャンスを作る役割に期待したい。

9位:野村佑希

 西武枠で今井を行くつもりだったが、あっさり軍曹さんに抜かれ意気消沈。
 

 方向を転換して長打を出せるバッターを探した結果、野村を獲得することにした。
 

 チャンスが下がってしまったのは割引ポイントだが、基礎能力自体に変化はなく、弾道4+パワーC後半でハマれば30本も視野。一塁と三塁を水準程度で守れる(エラーと送球E持ちではあるが)点も悪くない。
 

何はともあれ日ハム枠も埋められたので良かった。

10位:濱口遥大

 現実では散々だったが、パワプロではそこまで悪くない。
 

 調子極端持ちでブレることはブレるが、この順位で防御率2点台を出せる可能性があるスターターを確保できるなら間違ってはないハズ。
 

 コントロールもD→Eに下がったが、四球を持ってないせいかそこまで大きく乱れることもない。
 

 着々と左キラーを揃えるチームもあり不安はあるが、そこは調子ガチャで何とかできれば…。

11位:島内宏明

 指名候補として考えていたガンケル・美馬が消え、守りの指名になったように思う。
 

 特に美馬が目の前で消されたのは痛く、これが後々のミスピックに繋がることに。
 

 島内自身も前回からはアプデで弱体化(チャンスC→D、マルチ弾・粘り打ちはく奪)され、今回もそこまでの期待は持てない…。
 

 とはいえ楽天枠もそこまで簡単には埋められないのも事実で、残りの球団枠との兼ね合いも考えると行くしかなかったというのが実情。
 

 今考えれば西口という選択肢もあったので、行くならそっちだったかもしれない。

12位:大関友久

美馬を寝取られたので寝取り返しました。
 

 ……というのは全く狙っていなかったが、ホークス枠をいい加減埋めないと大変なことになりそうだったので指名へ。
 

 ピンチE+左Fで見栄えは全く良くないが、基礎能力自体は先発の中でも中堅上位レベル。
 

 3球種+総変9とコントロールCの先発をここで獲れるのなら言うことなしなのではないか。

13位:松本航

 指名理由は上記の大関と似たようなもの。
 

 もう一巡見送りたい気持ちもあったが、漂流させてG2の5番手で獲られるといろいろと破綻すると考えここで確保した形。
 

 與座も考えたが、すでに浜口と大関が左Fを持っており、さすがにこれ以上左に弱い先発陣にはしたくはなかった。
 

 一応検証ではそれなりにまとめてはくれていた…はずなのだが、指名してから急に燃え出したのが気がかり。
 

 四球+速球中心が悪さをしているのだろうか?まあ5番手ならこんなものとも言えるが…。

14位:デスパイネ

 正直ここまで残ってると思わなかった。守備で避けられたきらいもありそう?
 

 さすがに往時の能力はないが、それでもパワーC+広角持ちは強い。
 

 平均的には打率.250と15~20本辺りだが、上振れすれば.280で30本100打点も狙えるので打つ方は問題なし。
 

 問題はどこに置くかだが、まあ塩見と島内で最低限の外野守備は担保できてるし…という考えのもと、レフトで起用の予定。
 

 水準~水準以上の打棒を持っているのなら、多少の拙守には目を瞑って使いたい。

15位:宋家豪

おじいちゃん「(なんで残ってるんだろう)」
ぼく「(なんで残ってるんだろう)」


 本当になんで残ってたんだろうか。正直リリーフは諦めていたので、それなりの抑え候補を獲得できたのは大きかった。
 

 5年に一度くらいのペースで大爆発するので過信はできないが、それでも残ったリリーフの中なら間違いなく抜けた存在。
 

 四球持ちはまあまあ痛いが、対左Cを持っているのも評価点で、キレ○もいい働きをしてくれそう。平野と一緒にブルペンをしっかり締めてくれれば。

16位:石川慎吾

今世紀最大のミスピック。
 

 明らかにここで行かなくても獲れただろうし、万が一を考えすぎて焦っていたというほかない。
 

 ここで悩んでいたのはリリーフ(オリックス山田)だったのだが、絶対そっちの方が良かった。
 

 石川慎吾自体は対左専用で使えば結構打つし、対左Eの島内とのプラトーンで考えていたのだが、もう一巡待つべきだった。

17位:小木田敦也

 懸念したとおり山田がG2で消え、残りの候補から小木田を選択。
 

 左C持ちで155キロ、3球種持ちなのでそこそこ抑えてくれる。スタミナDなのでブン回しもできる。
 

 とはいえやはり第一候補は山田。奪三振+回跨ぎ+緊急登板持ちを失ったのは痛すぎた…。

18位:島本浩也

 ここまで来るとどのリリーフも同じくらいの感じ。ならば逃げ球でアドを取れそうな島本を指名。
 

 さすがに現実ほどは抑えてくれないが、この順位で獲る選手なら悪くないというレベル。
 

 ロッテ東妻も考えていたが、島本とどちらが抑えるのだろうか。何にせよ後悔はない。

プラスワン:甲斐拓也

 18人の指名を終えて、残すは半田が鎮座するキャッチャーの手当て。
 

 実を言うと、ここで指名したかったのは木枯。いくらキャッチャーCとはいえ打力で敬遠されるだろう…と思っていたが、現実はそんなに甘くなかった。
 

 見通しが甘すぎたとしか言えないが、終わったことは仕方がない。気持ちを切り替えて弾道が3になった甲斐で埋め合わせを図る。
 

 守備と肩で一定の貢献はできるだろうし、どうせ9番に置くなら一発打つかバントしてくれるだけでいい。

 

 検証で打率が1割切ったシーズンがあったのは見なかったことにしたい。

総評

 初の12球団縛りと現役選手以外のピックも入って中々難しかったが、悪くない指名はできたんじゃないかと思う。
 

 特に打線に関してはG1の中でもそこそこやれるんじゃなかろうか。クリーンナップはそれなりに強そうだし…。
 

 投手も及第点くらいの感じはある…あると思う。たぶん。というよりあってほしい。
 

 怖いのは守備が割とボロボロな点。内野は鎌苅以外エラー持ちで、外野もデスパイネがどうなるか。
 

 何とかプレーオフ圏内には粘って勝負をしたい。頑張ります。
 

まだカープがリーグ優勝なんて口が裂けても言えなかった2012年オフのドラフト会議。
森雄大(現楽天)、増田達至(現西武)と2度クジを外し、カープフロントが取った策はまさかの超野手偏重ドラフト。

1位の龍谷大平安高・髙橋大樹から5位の美間優槻まで支配下指名全員が野手で、育成まで含めても7名中投手は育成1位の辻空1人だけと、半ば投げやりのような、ギャンブルにも近い指名を行った。

色んな意味でファンをざわつかせたドラフトの中で、二松学舎附属高から2位で指名されたのが、鈴木誠也だった。

正直、鈴木誠也本人も、カープの首脳陣も、彼がカープの、そして日本の4番を務めるほどの選手になるとは誰も思っては居なかっただろう。
実際ファンからしても成長曲線は1〜3番タイプを思い描いていたし、今でも本質的にはそういう選手だと感じている。
そんな彼を想像を超えた選手へ、更なる高みへと導いたのは、なにより彼自身の野球への真摯な向き合い方、そしてそれを助長し、育めるだけの環境が同時に整った事だと思っている。

カープが16年ぶりのAクラスを決めた2013年、エルドレッドの決勝2ランでAクラスを決めたナゴヤドームでのあの試合。
鈴木誠也が1番・ライトでスタメンだったのを覚えているファンは居るだろうか。
そう、カープ躍進の扉が開いたあの日から、彼はグラウンドに立ち、歴史を共に作り始めていたのだ。

高卒ルーキーながら2軍でも抜きん出た成績を残し、勝負所の9月に初昇格すると、初安打をタイムリーで飾るなど才能を見せつける。
翌年は初ホームランを記録し打率.344を残しアピールすると、3年目には早くも1番・ライトで開幕スタミナを飾り、周りの想像以上の速さでその力を伸ばしていった。

そして、彼の成長と同調するかのように、カープというチームも黄金期への道のりを辿り始める。

野村監督がチームの軸として据えていた菊池・丸の「キクマルコンビ」に、後に3連覇中の切り込み隊長となる田中広輔が2014年に入団。
さらに2014年オフにはかつてカープからFAし、厳しいバッシングを浴びながらも阪神でプレーしていた新井貴浩がまさかの復帰。

また、新井と時を同じくしてチームを去った背番号15、カープのエース・黒田博樹もカープへの電撃復帰を発表し、広島の街は大いに沸き立った。

他にも野村祐輔、今村猛、中崎翔太、會澤翼、松山竜平、安部友裕など、次世代を担う選手が円熟期を迎えたカープは、歓喜の瞬間をその手に掴めるチームへと変わっていった。

そして迎えた2016年。
鈴木誠也の名前が全国区に、カープの強さと勢いを証明する試合があった。

6月17日、オリックスとの交流戦。
同点の延長12回。先頭磯村が二塁打で出塁しチャンスメイクすると、打席が回ってきたのは鈴木誠也。
マウンドの比嘉のスライダーを一閃すると、レフトスタンドへ自身初のサヨナラホームラン。

さらに勢いは止まらない。
翌日の6月18日、2点ビハインドの9回に1死1、3塁のチャンスで再びバッターは鈴木誠也。
オリックスの守護神・平野のフォークを捉えた打球は、高い放物線を描いてレフトスタンドへ。
2試合連続となるサヨナラホームラン。

この試合後、監督だった緒方が漏らした『神ってる』という言葉がこの年の流行語大賞を受賞するなど、本人にとってもチームにとっても印象深い一打となった。
(もっとも、鈴木誠也本人はあまりこの表現は好きではなかったらしいが)

一躍チームの主力へと成長を遂げた若武者に率いられるように、カープは25年ぶりの優勝へと突き進む事となる。
優勝決定試合では2打席連続HRを放ち勝利に貢献すると、打率.335、29HRという成績を残し自身初のベストナインを獲得し、リーグを代表する外野手となった。

だが翌2017年、彼を大怪我が襲う。
リーグ連覇に向けて邁進していた夏場、8月の横浜スタジアム。
フェンス際の打球処理をした際に右足首を剥離骨折。
全治3ヶ月と診断され、シーズン中の復帰は絶望的となった。

この後、チームはリーグ連覇の偉業を成し遂げたものの、CSで3位横浜にまさかの敗退。
チームも、鈴木誠也本人にとってもあまりに大きすぎる、痛過ぎる出来事だったが、この大怪我がまた彼を一段階大きくしたのだと思っている。

鈴木誠也は後に、『あの怪我がなければ人として終わっていた』と語っている。


>2016年以降、いろんなプレッシャーを自分で抱え込みすぎて、野球が楽しくなかった時期がありました。
>打席に立つのも嫌だし、ヒット打っても嬉しくないし、勝っても嬉しくない。そんなときに怪我をして入院したんです。
>すると、そこで病院にいる子たちが一生懸命リハビリを頑張っている姿を見ました。

>怪我をしたこと自体にイラついて『なにやってるんだろう』と悶々としながら僕がリハビリをしているときに、子ども達が『頑張ってね』一緒に頑張ろうね』と声をかけてくれました。
>もう感動して、自分が小さくみえましたね。
僕は好きな野球を仕事としてやれているのに、何をこんなしょうもない事で悩んでいるんだろう。

>それから『もっと野球ができる事に感謝して、出会った子ども達のためにももっと頑張らないといけない』と野球に対する想いがまた変わりました。
>もしあの怪我があっても入院していなかったら、そのままズルズルやっていたら、選手として終わっていたかもしれないと思うくらいひどい精神状態で野球をやっていたので、あの怪我があってよかったと今でも思っています。

こうあるように、大怪我が鈴木誠也自身を人間的に成長させてくれたのだと思う。
それを証明するかのように、翌年から目に見えて打席での落ち着きが増した。
あくまで一ファンの目線だが、チームの4番として、柱として、そういう立場と自覚を咀嚼し、自身の中に落とし込むための時間がこの怪我の期間で得られたのだと、そう解釈している。

怪我明けの2018年は足元の不安に悩まされたものの、押しも押されぬ4番として完全に定着。
シーズンでは自身初の30HRを記録すると、日本シリーズでは打率.455、3HRの活躍を見せ、シリーズ敢闘賞を受賞した。

こうして若干22歳だった若武者は、様々な出来事を経験し、チームの顔として、主力として十二分な成績を残し、チームをリーグ3連覇の偉業へと導いた。

思うに、鈴木誠也の成長=カープの成長だったように感じている。
たまたま出てきた時期とチームの円熟期が同じだった……確かにそうかもしれない。

でも考えてほしい。
もし、鈴木誠也がカープに入団していなかったら?
もし、鈴木誠也が新井貴浩という4番像を見ていなかったら?
もし、鈴木誠也があの大怪我をしていなかったら?

様々な『もし、』が彼とチームの双方向に相乗効果をもたらしていたのは紛れもない事実だと思うし、恐らく彼抜きで優勝はできなかったと思っている。

カープ黄金期の象徴は鈴木誠也なのだ。

だが、本当に彼にとって大変だったのはこの直近3年だったのではないだろうか。

チームを去っていく選手に、怪我などで成績を残せなくなっていく選手。
『強い』カープが『強かった』カープになってしまい、自身に警戒が集まってしまう中で高いパフォーマンスを維持し、チームを引っ張り続けるのは並大抵の事ではない。

加えてここ2年はコロナウイルスの影響で無観客試合になるなど、モチベーションの面でも難しいシーズンになってしまっていたと思う。

そんな中でも鈴木誠也はチームの、ファンの希望であり続けてくれた。
今のカープは坂倉将吾、小園海斗、林晃汰など次世代のホープたちが頭角を現し、世代交代の波が一気に押し寄せてきている。
背番号1の背中を見て、目標としてきた選手たちが、来季以降は彼のように一気の飛躍をせんと研鑽を積んでいる。

ある意味、この鈴木誠也のメジャー挑戦が、カープ黄金期の一旦の終わりだと思っている。

だが、心配はしていない。

彼が受け継いだもの、積み重ねたものはきっと今の若手選手にも伝わっている。
彼が居なくとも、また再びあの歓喜の瞬間を迎えられる日は、そう遠くないと信じているから。
だから、安心して行ってきてほしい。

どうか、元気で。
夢の赤い橋は、遥か遠くへと続いていく。




市民球場最終年の2008年。ファンになって3年目で、当時僕は小6だった。

 

ジュニアカープという子供専用の公式ファンクラブに入会していた僕は、特典のシーズンパスを使って市民球場によく試合を観にいった。

当時の市民球場は外野が自由席で、そのライト側最上部。オタフクソースの看板の下がお決まりの観戦位置だった。

 

公園のベンチのような長椅子の外野自由席に腰掛けて、試合前の練習を見ながら、球場前のコンビニで買った弁当をよく食べていた。

レフト側から差し込む西日に照らされたグラウンド、その中で試合前のノックを受ける選手たち。

赤いタテジマのユニフォームを着た選手たちの姿は、一人一人が僕にとってヒーローだった。

 

それから、12年。

球場も、ユニフォームも、選手も、全てが大きく変わった。

Bクラスが定位置だったカープも、三連覇という偉業を成し遂げ、今や15年連続Bクラスという歴史も忘れられようとしている。

 

その中で、「赤いタテジマ」を着ていた選手が一人、また一人とチームを去っていく。

黒田、新井、大竹、マエケン、栗原、梵……そして、今年は石原と小窪。

 

強くなった、他球団と比べても(今年はアレだけど)そこまで遜色のない戦力になったカープ。

大瀬良、森下、タナキク、誠也、西川など、比較的若い選手たちが多いチームになり、

ファームにも小園など将来性豊かな選手ばかりで、きっとまた強くなれると思う。

 

でも、やっぱり僕は「赤いタテジマ」のカープが一番好きだ。

東出梵の二遊間に、4番栗原、赤松天谷のフレッシュな外野、緒方前田のベテランコンビ、代打の切り札喜田剛。

エース大竹に、シュルツ、梅津、横山、永川の鉄壁のリリーフ陣。

 

確かに弱かった。結局この年だって、終盤に中日にかわされて4位。

この後数年Bクラスが続いて、Aクラスの夢は5年後に叶う事になる。

赤いタテジマのユニフォームも、この年で最後だった。

 

それでも、球場に行って目の前でそのプレーを見てきた僕にとって、

全員が特別で、思い入れのある選手たちばかりで。

 

もちろん、これからもチームは変わっていく。誰かが入れば、誰かが居なくなっていく。

「赤いタテジマ」の残り香が年を経る毎に消えていくのは、仕方のない事だけれど。

それが寂しくて、心の中に小さく穴が開いたような。そんな気持ちになる。

 

最後に、今日退団が決まった小窪。

2008年のルーキーイヤーはショートとして、その後はユーティリティとして活躍してくれた。

選手会長としてチームをまとめて、代打の切り札としての印象が強い人も多いと思う。

 

この先どうなるかは分からないけれど、どうか来年も野球していてほしいなと、ファンとして思う。

弱いカープから強いカープまで見てきた選手として、色んな経験を、「赤いタテジマ」の残り香を、

新天地でも伝えて行ってほしいなと、心から思っている。

 

13年間ありがとう。そして小窪の行く先に、幸あれ――。