こんにちはニコニコ

メダル村ですパー


小学生高学年の秋、大型の台風が訪れて、学校が休校となった。その後、昼前からは台風一過となり、暑いぐらいの日差しになった。午後からは仲間と遊びに出掛けた。淀川の本流に近付いては危険だと、母親から告げられた。


もちろん危険だろう。ただ、遠くから眺めるだけなら大丈夫だろうと思った。そして仲間と二人で自転車で乗り付けた。


淀川河川敷に着くと、あちらこちらに台風の爪痕が残っていた。淀川本流は濁流だ。


あれを見てと、仲間が指を指しながら声を上げた。良く見ると、淀川本流の一部が決壊して、川の水が河川敷へ流れ込み、池の様になっていた。さすがに身の危険を感じて、淀川を後にした。


数日後、再び、淀川河川敷に向かった。淀川本流はいつもの流れに戻っていた。決壊して出来た池に目をやると、幾分、水かさが落ち着いている。本流とは完全に隔たれ、新しく出来た池の様だ。池は学校のプールの半分程度の大きさだ。


池に近付いてみると、はっと息を飲んだ。膝ぐらいの水深の池に、大量の魚が取り残されていた。時折、水面からは大型魚と思われる魚のヒレが見え隠れした。


急いで自宅へと戻り、釣り仲間のN君にこの事を伝えた。N君はコイの吸込み用のタックルで、池に取り残された魚を釣ってはどうかという。もちろん、大賛成だ。N君は私の分の釣り道具を用意してくれた。二人で池へと向かった。


現地に到着して、改めて池を眺めてみると、おびただしい魚影が確認出来た。N君は目を丸くして、スゲーと声をあげた。私もそう思った。急いでタックルを準備して、吸込み仕掛けを投入した。


うじゃうじゃと魚がいるのに、一向にアタリがない。時折、竿先が曲がるものの、魚体が糸に触れたアタリだ。一向に釣れる気配が無いため、釣りを止めた。網で魚を掬う作戦に変更した。


自宅へと戻り、網を手にして、再び、池へと向かった。早速、池へ入り、魚を掬った。一度に5匹ほどの魚が掬えた。10cm前後のマブナ、ドジョウ、ナマズ、ブルーギルだ。しかし、大型魚は泳ぎが速く、網に入ることは無かった。掬った魚を本流へと逃がして、自宅へ戻った。


翌日、学校へ行くと、クラスではその池の話で持ちきりだ。そしてO君が新しい作戦を提案した。投網で捕まえたらどうか。さらにO君は投網を持っているという。なるほど、素晴らしい提案だ。学校が終わったら、皆で池に集合することした。


私が池に到着すると、既にO君が投網を投げていた。多くの魚が取れていた。池の水量はさらに減水していた。大型の魚を取るため、皆で自転車で池へと入り込み、横一列に並んだ。自転車で魚を岸辺へと追い込み、待ち伏せしていたO君が投網を投げる作戦だ。


行くぞーという合図とともに、皆一斉に自転車を漕ぎ、池の岸辺へと魚を追い込んだ。水圧でタイヤに負荷がかかり、ペダルが重い。水しぶきを上げながら、立ち漕ぎで自転車を進めた。驚いた魚は岸辺へと向かった。岸辺で待ち伏せしていたO君は、タイミング良く投網を投げた。


投網を手繰ると、たくさんの大型魚が網に掛かった。コイ、ソウギョ、ハクレン、ライギョ、ナマズ、ウナギだ。80cmを越える大物も掛かった。私は大型魚を胸に抱きかかえ、淀川本流へと逃がした。この二日間で多くの魚を救出した。


専用の釣り道具など無い。ただ、魚は十分に泳いでいた。そんな時代の思い出だ。





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