主人公 前田健一 (24)前園機材㈱ 総務課
先輩 桜井優梨愛(29)
✨.゚・*..☆.。.:*✨.☆.。.:. *:゚
東京港区新橋。
前田健一(24)は、朝からオフィスのエアコン
から水が漏れると苦情を受けて脚立に登り
応急処置でゴミ袋を駆使して、何とかしようと
悪戦苦闘していた。
健一は、都内の私立大学を卒業後、前園機材と
言う道路工事の安全機材を制作から販売迄手掛け
るこの会社に入った。何故この会社を受けたか
と言うと、役員の中に親戚の叔父がいて、どうせ
3流私立大学だから就職先にも困るだろ。
法事の集まりの時に言われた。
正直、内定も取れず焦っていたので、ありがたく
受けコネ入社したのは間違いない。
その代わり、一切優遇もしない。
ダメならクビ切るから覚悟しろと言われた。
前園機材は、北海道から九州まで顧客がいる。
本社は東京にあり、大阪には支社がある。
後は営業所が点在しているが、小さなマンション
やアパートだったりで一応営業所がある体裁を
取っているだけだ。
「おい、大丈夫かよ。」
営業本部長の島田が怪訝そうな顔でこちらを見てる
。もうすぐ養生できますから。変な愛想笑いを
浮かべて、エアコンのドレン水を貯めるように
ビニール袋を切り貼りしながら、何とかしようと
必死だった。
健一は、入社してこの4月で2年目。就職して本社総務課に配属された。事務採用新卒同期は4名。他のやつは営業に配属されていた。
この2年。パソコンが壊れた
トイレが詰まってる。営業車が壊れた。
様々な雑用ばかりで何の仕事してるんだ
かわからない。
入社して暫くはスーツを着ていたが、会社の
作業着を倉庫から引っ張り出し毎朝着替え。
デスク周りも、工具だらけ。
何でも屋と揶揄されても、嫌な顔せずに
せっせとこなした。
肝心な本業の安全機材など何があるかしら
知らない状態。
上司からは、良く嫌にならないな。
俺ならとっくに辞めるぞ。呑みに行った時
心配されたが何故か嫌でもなかった。
昼前に、やっとエアコン保守サービスが
来てくれて解放された。
色んなメンテナンス業者さんとも顔見知りに
なり、簡単な修理方法など熱心に聞いたり。
僕自身は毎日飄々と仕事していた。
6月初旬職場では一切話もしない
叔父から寿司屋に呼び出された。
「おう、座れ。」
今まで一切何も言われてないから、クビか!
覚悟して隣に座る。
「良く嫌な顔せずに耐えたな。」
普段の仕事ぶりを、社内で見ていたし、
上や廻の評判も悪くない。
7月から営業に移動だからなとビールを
つがれながら話した。
しかも、いきなり愛知営業所勤務だと。
同期は、まだ本社営業部に配属されたまま。
ウチの会社で営業所勤務は、最低4年は
本社や大阪支社できっちり教育をうけてから
現場に出る。
ほとんど1人で、営業、事務、機材搬入、
故障受付迄担当するので商品知識から
半端じゃないのは知っていた。
「嫌なら、辞めるか?」
断れるわけもない。宜しくお願いします。
そう言って頭を下げた。
つづく