「第70回別府大分毎日マラソン」参戦記①
レーススタートまで
令和4年2月6日(日)
別府大分毎日マラソン初出場の日
。
前の晩は21時過ぎには就寝したが、気分が落ち着かないのか、なかなか寝付けずまとまった睡眠はとれなかった。
6時半に寝床を出る。
腹持ちのよい焼き餅に砂糖醤油をつけて朝食にして、前夜に準備していた荷物を持って早々に家を出る。
途中JRを使って大分駅に着いたのは8時、駅どなりの駐車場に行くと「うみたまご」行きの選手用シャトルバスは既に待機していた。
8時半発のシャトルバスは大分県在住の選手用だ。
ゼッケン番号の確認や検温・手指の消毒を済ませ乗り込む。
8割ほどの乗客を乗せたところでバスは定刻どおりに出発、車窓を眺めつつ他の乗客の会話に耳を傾ける。
「向かい風」というワードがひときわ多く飛び交っている。
家を出る前から風は強く吹いており天気予報を見るとちょうどレースの時間帯は7メートルの風が吹くとのこと、しかも風向は「北西」、35キロ地点で折り返しゴールの大分市営陸上競技場に向け針路をとると真正面から風を受け走らねばならなくなる。疲労がピークを超える最終局面の向かい風・・・、これはかなりの苦戦が予想される。
バスは20分弱でうみたまごに到着。
すぐに受付テントに誘導され受付を行う。ここでも検温や手指の消毒を
行い、さらには事前に行っておいた抗原検査の陰性証明書の提示を求められる。
オミクロン株の蔓延で中止になるかと思われていた別大マラソンだったが、こうして開催の日を迎えるためには、このような厳密な感染防止策を採らざるを得なかったことは容易に想像ができる。
もっとも「あるのか?ないのか?」という悶々とした日々が続き、開催が決定してもエリートと大分県民だけの規模縮小になってしまうなど、ここに至るまでが波乱の連続でモチベーションを上げるのに非常に苦労し、スタート直前の今になっても、ちっとも気持ちが乗っていない。
まぁ、この話は別の機会にすることにしよう。
受付を済ませ、選手の待機テントに入る。

もともと五千人のランナーを収容するはずだったテントに入るのは、その十分の一以下の県内選手だけ、テントの中はスカスカで、ストーブのそばの暖かい場所を余裕で確保することができた。
それにしても風が強い、風でテントがガタガタと揺れ、テントの外では各種の看板やプラカードが「風に飛ばされる」と片づけられている。
さらにそれに追い討ちをかけるようにとても寒い。たしか天気予報では最高気温が6℃だったはずだ。
「強い風に低い気温」
コンディションは最悪とまではいかないが、十分によくない部類にはいることは確実だろう。
時刻は9時過ぎ、スタートの12時まで、あと3時間近くも時間がある。とりあえず、おにぎり&野菜ジュースの朝食を食べる。ちょうど知り合いのランナーが隣に陣地をとったので話をしながら大会要項を再確認する。
フルマラソンは大消耗戦だから、ここで無駄にエネルギーを消費するわけにはいかないので、ウォークマンで音楽を聴きつつ横になる。
時折、起き出してトイレに行きつつ外の様子を伺ったりしつつゴロゴロしていると時計の針が11時を回った。
テント内のランナー達の動きが、徐々に慌ただしくなってきた。皆、レースウェアに着替え始めている。
そろそろアップの時間だ。
私はジャージ姿のままアップ会場に行き、動的ストレッチで身体を温め、そして軽くジョグをした。
それにしても風が強い、そのせいか日差しはしっかりあるもの体感温度をすこぶる寒く感じる。
この強い向かい風・・・
風は南西方向から吹いており、スタートから亀川漁港前の「第一折り返し」までの10kmと、35km地点の三佐田交差点手前「第二折り返し」からゴールまでの7kmは、この風を真正面から受けながら走らねばならない。
とくに脚も身体も疲弊しているであろうラスト7kmが強い向かい風であることは、かなりのハンディキャップといえるだろう。
私はこのレースで「3時間切り」を達成することを目指し、そのために練習を積み上げ、本番ではkm4分10秒の余裕のあるイーブンペースで走れるようにしたつもりだったが、上がってこないモチベーションと向かい風を考慮した結果、設定ペースを4分10秒~4分15秒に下げ、「三時間切り」の目標を「できたら儲けもの」と下方修正することにした。
アップからテントに戻り、レースウェアに着替える。
体感温度が低いので、インナーを着込むか迷ったが、「走れば寒くなくなるだろう」と考え、身軽な「帽子・サングラス・半袖・短パン」という、いつもの格好でレースに臨むことにした。
11時30分、バナナにプロテインゼリーを口に入れる。レース30分前の最後の栄養補給。
これで準備万端、シューズを履いてまとめた荷物を自衛隊に預ける。
スタートとゴールの場所が違う別大マラソンでは、レース中に荷物を自衛隊がトラックでゴール会場に輸送してくれるという仕組みになっている。

11時45分、ラインナップ。
交通規制が始まり、いつもは歩行者が入れない別大国道のアスファルトの上に並ぶ、選手は総勢400人超、はじめて出場する私から見ると、これでも多く感じるが、常連のランナー達に言わせれば「全然少ない」とのこと、おかげで私のいる位置は前から24列目、通常開催時には見ることのできないであろう最前列のエリートランナーの姿がよく見える。
見上げれば空は冬らしい澄み切ったブルー、相変わらず風は強いままで、薄着のランナー達は口々に「寒い寒い」といいながら鳥肌を立ててスタートの刻を待っている。
ここへ来て、ようやく私のモチベーションも上がりはじめ気分が高揚してきた。
「これから夢にまで見た別大マラソンを走るのだ」
令和4年2月6日12時00分
第70回別府大分毎日マラソンはスタートの時を迎えた。
(つづく)










