Ontario エリアで優秀な成績を上げている少年サッカー選手。

Toronto FC からトライアウトに招待されました。

サッカーのテクニックだけでなく、体の状態も詳しく審査されます。

2022シーズンは36ゴール

数週間に及ぶトライアウト期間。

昨日は自分の得意ポジションであるフォワードとして選抜されてセカンドチームを相手に見事3ゴールを上げた。

その後、右足にスライディングや強いコンタクトを受けて試合後歩けずに私の所に直行してきました。

明日もプロへの最終選考がかかった大切な試合がある為ママは心配顔です。

本人「痛くて歩けないし明日のプレーはあり得ないでしょう!」の言葉にママは困り果てた様子です。


親子喧嘩の最中のトリートメントは、こちらも大変な状況ですが、実力の発揮しどころなので冷静に自分の仕事を遂行します。


この様な状況でマッサージセラピストの一番大切な仕事は危険の回避です。

つまり、この選手のコンディションが大きな怪我に繋がる可能性があるか無いかの判断です。


本人やママの意見に関わらず、この部分は正確に見極める必要性があると考えていて、危険と判断した時は世界チャンピオンがかかった試合でも棄権して貰った経験もありあります。


プロチームに入れるかどうかの、「ここ1番の大勝負なんだから、少々痛くてもプレーして当たり前」がママの言い分の様にも見えますが険悪な空気が流れます。


とりあえず、応急処置を始めて様子を探るます。


私の判断を支えているのは教科書で学んだ事でなく過去30年間に経験したサッカー、フィギュアスケート、バレエを始めとした多くの患者さんのケースからの学びです。


怪我をした直後の状態は不安定で判断が非常に難しい。

(高度な機器を使って検査したから判断出来ることだけで無い。)

主な理由は、怪我の重症度が体に及ぼすレベルの判断や、今選手が置かれている立場を考慮した判断が必要で状況が刻々と変化するので、検査結果を待っている時間がない事です。


この状況で選手の致命傷になる様な状況は絶対に避けるべきだと考えています。

また、これは第三者のマッサージセラピストの意見であり、「怪我しても良いから試合に臨む!」などと意気込む選手本人や家族の意見とは根本的に違った立ち位置にあることも理解しなくてはいけないのです。


前置きが長くなってしまいましたが、結局の所、コンディションを改善出来れば皆ハッピーなので、TADメソッドを中心としたアプローチを開始しました。


まずは、本人が歩けないと言っているので現状の痛みの強さや、ロケーションを正確に把握します。


触ると飛び上がるくらい痛がりますが、ロケーションが筋肉ボディーである事、少なくとも怪我した足に体重をかけられる事などから回復可能性ありと判断して痛みのコントールを中心としたアプローチをして念のため関連部位も丁寧に整えてから、とぼけて幹部を触ると選手の痛み反応が鈍いので炎症処置なども施して再度立って貰うと、キョトンとした表情のサッカー選手。

指示もしてないのに自分で膝の屈伸まで始めました。


ママからは「You are my  seacret wepon!❤️」と喜んでいただきました。


このケースで効果的だったのはリンパのテクニックによる腫れのコントロールでした。

怪我をした幹部を高いポジションに置くことにより幹部に停滞したリンパ液を重力でリンパ腺に導き腫れを抑えます。

例えば足の腫れの場合、仰向けに寝た状態で枕などを足首の下に入れて10-20分安静にしてリンパ液の流れを促します。

腫れが少し治る事により痛みの減少も期待できます。


今日のお話しで私のコンディショニングが素晴らしいと言いたいのでは無く、Torjaのコラムでも再三説明していますが、痛いとか痛くないと言う自覚症状は怪我の状態の判断には余りあてにならないという事、痛みが強くても危険が無ければ痛みのコントロールや動作継続は可能であると言うこと。

逆に痛みが無くても関節の運動制限があるなどの危険を見逃さないのが大切な事。を皆さんが理解する機会になればと考えています。


最近、何事も即効性が求められる傾向にありますが並行して地味な持続性のあるアプローチの重要性も理解して致命的な怪我を回避出来るアイディアを色々と説明していきたいと思います。



話は変わって

2022-23シーズン後半の試合に向けてコンディショニングに来てくれるフィギュアスケートりくりゅうペア。

年末の全日本選手権にトロントピアソンから向かう際、スノーストームでフライト遅延+ロストラゲージで試合を棄権してしまったので気合い十分ですが、「気合い入れすぎで空回りしない様」、数年かけて体を整えてきたのでスケートのミスと体の不調の関係がだいぶ解明されているので、「このジャンプコケる時はここが悪い」と大体わかっています。

なのでやる事をやったし、

「もしコケたら半分はコチラの責任」と送り出しました。

世界選手権優勝へ向けてトロントの皆様の応援宜しくお願いします。


コンディショニングも精度を高めていくと.スケーティングとの関連性が見えて来るので選手達にも自信を持って説明出来る様になります。


失敗すると選手からの信頼度ゼロになるリスクもありますが、人生かけて取り組んでいるアスリート達にはコチラも駆け引きなしに接する様に心がけています。

幸い過去30年間大きく信頼を失うことなく続けています。