ラストです










あれから。


大学生となった智は、週の半分をオレのアパートで過ごすようになっていた。家族との関係も良好で、時々妹の遊び相手に駆り出されているらしい。


引っ越し荷物から振り分けられた着替えや日用品は、当たり前のように、今…この部屋にある。


週末の今日も、バイトが終わったら

間違いなくこの部屋に来るだろう。



「さて、と」



仕事終わりで疲れていることを言い訳に、コンビニで買ってきた惣菜を冷蔵庫に入れる。


…まぁ、そんな日もあるよね。笑



風呂に湯をためながら

ローソファに身体を預けた。



疲れていたのか…少しウトウトしていたようで。

スマホを手に取ると、5分前に智からのメッセージが入っていた。

駅からここのアパートまでは、オレの足では10分ほど。

でも、智は…

「1秒でも和也に早く会いたいから」と言って、その距離を5分で帰ってくる////



……ってことは。



小さな音を聞き逃すことなく玄関に向かうと、目の前でドアの鍵がくるりと回った。



「ただいまー…って、うわ!びっくりした!!」


「智、おかえりなさい。…あ」



当たり前のように彼の手に握られていた、この部屋の合鍵に視線を落とす。



「どうした?」


「…ううん、なんでもない。

お風呂に着替えも置いてあるから、入ってきて」


「おう、ありがと」



彼の手から合鍵を受け取ると

そっと…玄関横の定位置へと置いた。





眠れず、憔悴しきっていた…あの日々は


智と出会って

その色を変えた。



真っ暗な中、オレが立ち竦んでいたその場所は

決して…闇の中だったのではなく


自分が瞳を閉じていただけだった。



童話の中のキスの役割は

お姫様を起こすためのものだったけど


あなたとのキスに目覚めさせてもらったのは

オレの方だったのかもしれないね。



「…よし!」



オレは躊躇いなく風呂場のドアを開けると、くたくたの部屋着をポイっと脱ぎ捨てた。

そのまま突撃する。



「おわっ!和也!!」


「今日は、一緒に入ろうかな」


「いつもはおれが誘っても遠慮するくせに笑」


「ふふ、そういう気分なのよ♡」



決して広くないバスタブに、無理に入り込むと



彼の唇を誘うように

そっと…瞳を閉じた。





おわり





*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


おはようございます。


かれこれ…

数年がかりで完結しました( ・∇・)←


あまり書いたことのない設定を…と思い

おーちゃんを年下にしてみましたが

高校生らしからぬ出来上がりになってしまった笑


…ま、いっか♪

これもmiuイズムだわ笑


最後まで読んでくださった皆さま、ありがとうございました┏○ペコッ



次は、にのあい…


と言いたいところですが

あれからちっとも進んでありません( ・∇・)


ちょっとずつ書き溜めていくので

期待せずにお待ちください笑



では、よい週末をキラキラ




miu