〜二宮の場合〜






…おかしい。

昼休みに話した時は「じゃあ俺の家で」なんて
潤くんの家で勉強会をするという案に、本人もノリノリだったはず。

それなのに、放課後隣の教室に行ってみたら潤くんの姿は既に無かった。
ポケットの中で震えたスマホを開けば『ちょっと先に家に戻るから、相葉くんと後から来て』って。は?

二人きりの下校にちょっと緊張しつつ、潤くんの家に向かうオレたち。
再びポケットの中で震えたスマホを開き、目を丸くした。
『悪い。ちょっと無理かも』ってどういうこと?
ってか、もう近くまで来てるんですけど?

そんな意味不明な潤くんからのメッセージは、ある別の人から数秒遅れて届いたメッセージを見て理解することになる。


”かず、ごめん。潤は暫く動けそうにない"
に続き、ごめんなさいの可愛らしいスタンプ。


へー
ほー
ふーん

そういうことですか。

突然、部屋に呼べなくなり
勉強会にも参加できなくなったのは、翔ちゃんの所為なのね。

あの二人が付き合っていることは知ってるし
その…そういう関係だとも分かってる////
察するに、何かのきっかけで盛り上がっちゃったワケね?
…でもさ、これからオレ含め潤くんの友達が来るって言ってないはずないよね。
それなのにこんな短時間でコトに及ぶかな?
しかも動けなくなるほど激しく?

本当に…我が従兄弟ながら恐れ入るわ。
翔ちゃんって、一見すると人当たり良く理性的で、とても暴走するようには見えないんだけど。
これが、潤くんを前にすると制御不能になるんだよね。
それだけ愛されてるのかもしれないけど、とばちっりを受ける方の身にもなっていただきたい。


「にの、松潤どうしたって?」


眉間にシワを寄せ難しい顔をしているオレに、相葉くんは心配そうに言った。


「もしかして、具合でも悪い?
もう近くまできてるよね。お見舞いだけでも」


そう言いながら、目検討をつけ、潤くんの家とは反対方向に向かおうとする相葉くん。
相葉くんは方向音痴っとφ(..)メモメモ

…って、違う。


「あのね、潤くんはちょっと都合がわるくなったらしくて…」


状況を鑑みるに、実際潤くんは腰を痛めているかもしれないが、それを具合が悪くなったと表現するのは違う気がする。
それに今、潤くんの部屋にはふたりの情事の跡がくっきりはっきりと残っているはずで。
…なんなら真っ最中の可能性も。
そんなところにこの人を連れて行けるはずもない。


「そうなの?病気とかじゃないなら良かった。
そっか…じゃあ、今日はやめておこうか?」


…同中だし、潤くんの家からオレの家までは当然歩いて行けない距離じゃ無い。高校生男子の足なら15分も歩けば着く。
仮に、ここから相葉くんの家まで移動するとなれば…1時間以上はかかるだろう。
近くに図書館でもあればそこでも良かったのだが、それも無い。

相葉くんの追試は3日後。
今回のテスト範囲はかなり広いから、できれば時間を無駄にしたく無かった。


「オレんちでやろうか?ここからなら近いし」

「…本当?!いいの?」


パァッと明るくなる相葉くんの表情。

そうだよね。追試で赤点取ったら大変だもん。
夏休みがかかってる。
そりゃあ必死にもなるよ。


「その代わり…部屋片付けるまで、ちょっと待ってよね?!」


散らかってても気にしないのに、なんて…
アナタは くふくふ笑っているけどさ。

いや、こっちが困るのよ////と
心の中で言い返した。




つづく



〜櫻井・松本の場合〜
はさんでもいい?( ・∇・)←

miu