つづきです








すぅ


はぁ…



ラジオを切り、深呼吸した。



この番組を聴くようになってから、オンオフの切り替えが上手く出来るようになり、仕事に対する集中力が増したような気がする。


ニノの心地よい声は、おれの中に余韻を残し

やがて静かな凪を連れてくる。



「…よし」



おれは顔を上げ


描きかけだったイラストへと色を落とした。







┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




…うん。良い出来だ。



「じゃ、あとはよろしくね〜」


無事に仕上がったイラストを翔くんに託すと、おれはハガキを手に、大福を連れて家を出た。


いつもの時間を大幅に過ぎてしまった。

仕事優先。

仕方ないとは思いながらも早足になるのは、ポストの回収時間が迫っていたからだ。

大福お気に入りの散歩コースをぐるりと回り、駅前通りにある郵便ポストへと到着した。


スマホの時計をチラリと見る。


良かった。間に合った。



「…次も読まれますように」



持っていたハガキを投函し、パンパンと手を合わせて拝むと、そのまま近くのコンビニへ向かう。

大福のリードを外に固定し店内へ入ると、おれが目指すのはおにぎりの棚。



「お♪あった」



いくらおにぎりを見つけた。

ふんふんと鼻歌を歌いながら手を伸ばすと、おれの視界にフレームインしてきたのは、クリームパンみたいな丸っこい手。

そのクリームパンは迷いなく、いくらおにぎりの隣に置かれた鳥五目おにぎりを掴む。


…え?


驚いて顔を見れば…

その人は、茶色い瞳をくるくるさせてこちらを見ていた。


え、やばい。すごい可愛い。


見た目の可愛らしさはもちろんなんだけど。

なんていうか…

小首を傾げた様子なんて、ハムスターとかモモンガみたいで。小動物感が漂っている。

そして、彼が手に取った鳥五目おにぎりが、少し前に聞いたラジオ番組のエンディングを思い出させた。


…あ。もしかしてあの番組のファンなのかな?

それならおれと一緒じゃん。


急に仲間意識が芽生え、一瞬 声をかけたい衝動に駆られたが…

自分が口下手だということはよく知っているので、やめておいた。

知らない人に急に話しかけられたら、普通に引くよね。


おれは いくらおにぎりを手に取ると、そそくさと逃げるようにしてレジに向かった。



「お待たせ、大福」


固定してあったリードを外し、大福を連れてコンビニを離れる。

家の前まで来て…


鳥五目おにぎりも買えば良かったなぁ と


ちょっと後悔した。






つづく






ベイストでもおにぎりネタが出て、めっちゃ嬉しい( ・∇・)


にのちゃんのお給料、まだおにぎりなんだね笑

やっと、二種類のおにぎりがもらえるようになったらしいです♪

一種類は鳥五目でありますように( *´艸`)



miu