つづきです








あ…


次第に キ ス が 深くなる。



差し入れられた 舌 先 がオレの 舌 を 絡 め取り、吸 い上げていく。飲み込み切れない 唾 液が 唇 の 端 から零れ落ちて、シャツに小さな染みを作っていた。



どうしよう。気持ちいい。



キスに夢中で

…気づけば、もっと、と求めていた。


キスくらいはオレだって経験ある。

でもそれは、好きな人からのものではなくて。


行為の前の、儀礼的なもの。

それだけ。


こんなに幸せなものじゃ…なかった、から。



んっ、ふ…

クチュ


…ふたりの水音が、部屋に響いていた。




頬 



そして唇


次々と落とされるキスに酔いしれる。

ザラリとした 舌 が、首筋をなぞって…



「あっ…ん」



…堪え切れず、甘い吐息を 漏 らすと

まぁくんは急に手を離し、くるり と背中を向けてしまった。



突然、訪れた 沈黙。


今までの甘く 艶 めいた時間など、まるで最初から存在しなかったかのようだった。



…やっぱり、そうだよね。


好きって気持ちだけじゃ…どうにもならないことだってある。元々まぁくんはノンケなんだもん。キスはできても、男相手にそれ以上の事は受け付けないんだろう。

嫌な思いさせて ごめんね。



「…まぁくん、無理…しないで良いよ」


「へ?」


「どうしたって女の子とは違うから。そういう気持ちにならないのは普通だと思う。好きだって言ってくれただけで嬉しい」



不恰好な笑顔だったと思う。

本当は、ちょっと……


…かなり、落ち込んでいたから。


そんなオレに気づいたのか、まぁくんは慌てた様子でそれを否定した。オレの正面に向き直り、硬くなった 股 間 を押し当てる。



「…逆だよ。キスくらいで 勃 っちゃったのが恥ずかしくて」


「/// あ…」



本当?

こんなオレでも…良いの?



でもね、昼間に男同士のそういう動画見たんだけど全然 勃 た なかったんだ。オレのこれはニノ限定みたいだねっ て

そう言うと、まぁくんは照れながら笑った。



「だからさ、じゃんけんしよ?」



…だからさ、の意味が分からない。

それは何にかかってるの?



「…いや、何で?」



その質問に答える間もなく、じゃんけんぽんって手を出した。

そこは、条件反射。オレも咄嗟に手が出る。


オレの手はパー

まぁくんの手は…グー


…あ、勝った。



「ねぇ、これ何のじゃんけん?」


「え…と、抱く方か、抱かれる方か」



それ、じゃんけんで決めるの?

え、待って。

勝った方が抱くとか、そういうこと?

まぁくんを見れば、何やら緊張感が漂っている。神妙な顔で グーを出した自分の手を見つめていて…


ふふ。

っ、あはは!


まぁ、頑張れば 抱けないこともないけど。



「じゃあ…オレが 抱かれる方で」



勝者の権利として、ありがたく 選択権を行使させてもらった。






つづく



miu