つづきです












まぁくんのことは気になるけど、仕事に行かなくちゃ。
オレは一旦部屋に戻ると、シャワーを浴びて出かける準備をした。
昨日コンビニで買ったメロンパンの袋を開けて齧り、コーヒーで流し込む。

とりあえず…
食べられそうなものを持って、まぁくんの部屋に寄った。


「ね、今日休みでしょ?ちゃんと病院行って来なね」

「…はい」

「お、素直じゃん」


って…デジャブ?
ふたり顔を見合わせて、クスクスと笑った。

 
「…じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」


手の中には、まぁくんの家の合鍵。
パタンとドアを閉めるとそれをポケットにしまった。



熱は下がっていたけれど、まだ少しだけ怠さが残っていた。
でも、それも昼過ぎには抜けてすっかりいつも通り。意外とオレって頑丈なのかも?
うん、これなら大丈夫。
午後も何組か予約のお客さまを撮影して
7時には、店を出ることができた。

何か…ご飯とか買って帰った方が良いよね。まぁくんに電話してみたのだけれど、数回コール音が鳴った後、留守電になってしまった。

…寝てるのかな?
まだ、体調が良くないのかもしれない。
とりあえずメッセージを送信して、オレは家路を急いだ。

駅に着き、改札を抜けた辺りで、ケツのポケットがブルっと震えた。
画面を見ればまぁくんからで。

" スマホ置きっぱなしで気付かなかった。ごめんね。コンビニのお弁当でいいから、買ってきてくれると嬉しいな" って。
…お弁当とか食べて大丈夫なのかな。
まぁ、確かにお粥ばかりも飽きるか。

電車に揺られながら…

オレは、コンビニで売っているお弁当の中で、極力 胃に負担のかからなそうなメニューを考えていた。




途中、いつものコンビニで買い物をして
まぁくんの待つ家に戻った。
チャイムを鳴らすと、間髪入れずにまぁくんがドアを開ける。

普通に「お帰り」と迎えてくれるから
オレも…つられて  「ただいま」と言ってしまった。


「…熱どう?」

「もう、全然!めちゃめちゃ元気!ニノは?」

「ふふ、良かった。オレも大丈夫よ」


テーブルの上にコンビニの袋を乗せ、買ってきた サラダと親子丼とお蕎麦を置いた。
…これでも、分からないなりに必死で考えたのよ。油っこくなくてサラッと食べられそうなもの。
消化も良さそうだと思うんだけど、どうかな?


「これで良かった?」


伺うようにして視線を向けると、こっちもらって良い?と、まぁくんはお蕎麦を手に取った。
なんだか袋の中を気にしているように見える。

…まさか、ビールを探してるの?
いやいや、薬だって飲まなきゃいけないんだから 我慢してね。


「うん。もちろん。あ…今日はビールはダメよ?」


まぁくん、ほんとビール好きよね。
でもダメです。

メッ って 見上げた次の瞬間、オレは まぁくんの腕の中にいた。






つづく


miu