つづきです










突然、握られていた手がパッと離された。

勢いで手元にあったハガキが床にひらりと落ち、長い手が、それを拾い上げる。



相葉さんは、手の中の写真を 

じっ…と 見つめていた。



ため息混じりに、ニノはまだこの人のこと…とか、見れば見るほどカッコいいとか。挙げ句の果てには オレが勝てるのって何だろうって。声がでかいとことか?いや、そんなので勝ってどうするんだよなんて ひとりで突っ込みを入れている姿は、端から見れば面白いんだけど。


えっと。

ねぇ、気づいてる?

全部声に出るんですけど///

そりゃあもう、聞いているこっちが恥ずかしいほど。


それにしても…

何でそんなに自信がないんだろう。


確かに潤くんのことは好きだったし、相手のコを羨んだりもした。

決して叶うはずのない恋心を、何度嘆いただろう。


でもね?

相葉さんに惹かれ始めていることも…事実。


…だって、このハガキを見ても全然苦しくならないんだもの。


そんな簡単に、忘れた…とは思わないよ。

けど、今 目の前で笑ってくれるアナタの存在が、オレの中で確実に大きくなっている。


他の誰でもない…相葉さんが。



「…相葉さんは、相葉さんで良いのよ?」


「へ?オレ何か言ってた?」



キョトンと丸い目でオレを見た後は

もう相葉ワールド炸裂。


またご飯作っていい?って、そんな話をしたかと思えば、オレの顔を見つめて可愛い可愛いのオンパレード。

ちょっと待って。

//////もう。これ何の試練よ。勘弁してほしい。恥ずかしすぎて顔から火が出そう。

アナタばかじゃないの。聞いてないみたいだから、もう一回言った。///ばかじゃない。

そんなオレの言葉に何を思ったのか…相葉さんは満面の笑みで、皿に乗った唐揚げを箸で摘んだ。


…まさか。


あーん って、口元に近づいてくる唐揚げ。

予想通りの展開に、オレは渾身の力を込めてグーパンチをお見舞いしてやった。



それからは大人しくご飯を食べて

明日の仕事に差し支えない程度に、楽しくお酒も飲んで。



「ごちそうさま。美味しかった」



…明日も仕事。

そろそろ、帰らないとね。

オレが すっ と立ち上がると、相葉さんも一緒になって立ち上がった。



「待って、送ってく」



…は?どこに?

そう言うと、ニノの部屋までって。

ほんと意味わかんないのよ。



「お断りします」



訳の分からない申し出をばっさりと切ったけど、相葉さんは怯まない。

じゃあ、コレ 

そう言って、残った料理をタッパーに入れて渡してきた。母ちゃんかよ。


…まぁ、でも食べるけどね。


素直に手を出すと、相葉さんは嬉しそうにタッパーを乗せた。







つづく





miu