つづきです








ふぅ。

何とか無事に撮影を終えた。


…いや、これかなり良いんじゃない?

我ながら、すごく可愛い笑顔が撮れたと思うよ。うん。


なんて…全部 相葉さんのおかげ。

オレだけじゃ あの笑顔は引き出せなかったと思う。


スタジオ内に視線を走らせると、店長と話している相葉さんの姿を見つけた。

…一応。

一応ね、お礼くらい言わなくちゃ。


話しているふたりの邪魔にならないよう、そっと近づくと、顔を上げた相葉さんと目が合った。


ニノ って


あの女の子にも負けないくらいの笑顔に

思わずシャッターを切りたくなった。



「今日はアシスタントが急に休んで…

助かったよ。ちっちゃい子って苦手なんだよね。ありがとう。

で?相葉さんは仕事だよね」


「あ、うん。でもニノがここにいるって知らなかった」



そう言った相葉さんは、いつもの相葉さんで。


他愛の無い会話も

相変わらずの軽口も


…この、優しい笑顔も。


もう…何日も会っていなかったなんて信じられないくらいよ。

挙げ句の果てに、店長との会話に勝手にオレを引き入れて。


「足りない物とか追加があれば、会社に連絡いただければ。あ、なんなら二宮君に言ってもらえれば、直接承りますよ」なんてさ。

勝手なことを言っているから、仲介手数料いただきますけど って言ってやったら、オーバーリアクションで肩を落としてる。マンガだったら大きく ガックリ って効果音が書いてある感じ。


何なのよ、もう。

くすくすくす。



自分が傷つきたくなくて


だったら、最初から全部なかった事にして

離れてしまうのが一番いいと思ったけど…


やっぱ無理。

顔を見ただけで こんなに嬉しいって どういうこと?

もはや恋みたい。


…って、オレが言うとシャレになんない。笑


ちゃんと、相葉さんの友だちでいるから。

だから…

アナタのそばに居ても良いかな。


そうだ。今日、帰りにビール買って 相葉さんの部屋に行ってみよう。

そんな事を考えていたらスタッフから呼ばれた。仕事に戻らなきゃ。じゃあオレ行くね。


くるりと向けた背中に、相葉さんの優しい声が。



「あの…今日、行っていい?」



うん


うんうんうん

もちろん。 



「二宮さん、何か良い事あったんですか?」


「え、あ…うん/////」



すっかり頬が緩んでいたようで…

スタッフさんに笑われてしまった。






つづく




miu