つづきです










3月から4月にかけては、卒業・入学といったイベントが多いので、残業することも多い。

でも、それが過ぎた今は比較的ヒマな時期。

店の営業時間は通常8時までだけど、撮影の予約が入ってなければ7時まで。大概はそれが終わったらすぐに帰れるんだけど…


今日は機材トラブルがあって、遅くなってしまった。


9時半過ぎに部屋に帰ってきて、冷蔵庫を開けてみれば、まぁ見事に空っぽで。笑

そりゃあそうだよね。昨日あれだけ飲んだんだもん。


うーん…

やっぱり、風呂上がりのビールはマストだよね。帰りにコンビニ寄ってくればよかった。しくったなぁ。

仕方なくサンダルを履いて、ドアを開けた。


別に相葉さんが来てもいいように用意をしておく訳じゃないんだからね。

…なんて、自分でもよく分からない言い訳をしながらマンションを出ると、通りの向こうで揺れている白い影を発見した。


え、何よアレ。

謎の未確認生物を 目を凝らしてよく見れば…


スーパーの袋を両手に下げている人影だった。オバケかと思ってちょっとビビったじゃない笑


…って、相葉さんじゃないの。


相葉さんが歩いてくる方に向かって、てくてくてく。

お互い数メートルの距離まで近づいた所で、やっとオレに気づき 目を丸くするから、スス…っと近寄ってみた。



「今帰り?」


「そう、残業で…ニノは?今から出かけるの?」


「コンビニに行こうと思って」


「ビール?」


「ふふ。そう」


「それなら大丈夫!これ、全部ニノにあげるやつだから」


「え」


「昨日、いっぱい飲んじゃってごめんね。ありがとう!すっごく楽しかった」



いやいや、こんなに飲めないし。

っていうか、どう考えてもひとり分じゃない…よね。なんだか胸の奥がほっこりと温かくなって、相葉さんの持っていた荷物に手を伸ばした。



「じゃあ…帰ろっかな」



そう言って、袋を持つと、これがまた重いのなんのって。アナタどれだけ買ったのよ。ビール以外にもおつまみとか入ってるし。笑

ふふ。

今日は飲み過ぎないようにしないとね。


並んで歩いていると、あっという間にマンションに到着。

2階まで上った所で、じゃあニノ って

もう一つの袋を渡そうとするから、相葉さん持ってきてよって言ってやった。重くて無理よ。これ以上持てない。


そうしたら、相葉さんがすごく嬉しそうな顔をするから、オレも嬉しくなっちゃって。


重い袋を下げながら、スキップして階段を上っちゃった。







つづく




miu