つづきです














「ニノ、お茶…」


「自分で淹れれば?!」


「あ、はい」



ニノの機嫌がすこぶる悪い…


氷を入れたことをまだ怒ってるのかなぁ。

だって、あんまりニノがエロくて…おれまで変な気持ちになっちゃったから。

あの時は、早く治めないとって必死だったんだよ。


なんて、心の中で言い訳をしながら、白い急須に手を伸ばす。蓋を開けると、後ろでニノの(ンッ///)って籠った声が聞こえた。


あ、ココ…乳首だっけ?取っ手も…

そんなこと考えたらもう、ドキドキしてしまって。目の前の急須に触れられなくなってしまった。

お茶を飲むのを諦めて戻る。



「ねぇ。ご主人さまは、オレが嫌い?」


「へ?」


「女の子の姿なら、シてくれる?姿くらい いくらでも変えられるよ」


「シてって…いや、そういうのは恋人同士がするもんだろ?!」


「恋人…?」


「うん」


「じゃあ、オレを恋人にしてくれる?」


「いや、」



(だって、ニノは…)

そう言いかけて、おれは口を噤んだ。

ニノの目が真剣だったから。


…嫌いなんかじゃないよ。可愛くて、素直で。

姿だって、別にどっちでも良い。

でも出会ったのは男の姿だったから、このまま…

今のニノのままが良いんだ。


ただ、何でおれにこんなにも懐いてくれているのかが分からなくて、正直 困惑している。


言葉を探しているおれの手に、ニノの丸っこい手が添えられた。



「ご主人さまは、汚れた…決してキレイじゃないオレを手に取ってくれたでしょ?優しく洗ってくれた。それがどれだけ嬉しかったか。

そして、何十年かぶりに呼び出してくれた。

…もう、運命だと思ったよね」


「ニノ…」


「オレじゃダメ?恋人にはなれない?」



繋いだ手をぐっと引くと、ニノの躰はすっぽりとオレの腕の中に収まった。

そのまま抱きしめる。



「…順番があるんだよ。

恋人同士は、こうやって抱きしめて、そんで…」



ふわふわな柔らかな髪に指を差し入れ、形のいい頭を撫でる。頬に手を滑らせ…上向かせた。


そっと、ニノの唇に 自分の唇を重ねる。



「キスすんだよ」



真っ赤になったニノが目を見開いているから、まぶたにもキスを落としてやる。


閉じられた瞳を確認すると、再び…口付けた。








つづく





miu