「ねぇ…キスしていい?」


ね、飯食った?

もしくは…
なぁ、今日寒くねぇ?


…ってのと同じくらい、普通に言ったから。


だから。
だからさ。

オレも普通に言ったんだ。


いいよ。って。


「じゃあ」
近づくキレイな顔を…瞬き一つせずに見つめる。


「………あの、しにくいんだけど」
「そう?気にしないで?」


だって、この現実感の無さ。夢でしょ?
せっかくだから、おーのさんのキス顔見てやろうと思って。

目が覚めたら、中々良い夢だったなぁ…って思ってあげる。


それなのに…

アナタの触れた唇が
あんまり…熱いから

オレは慌てて躰を引いた。


「…え、」


夢、じゃない?


「おーのさん?何で…」
「それ、キスした後に聞く?」
「だって」
「…好きだから」


やっぱり、息でもするみたいに
自然にそう…言うから


ちょっと考えて…
オレは、おーのさんの手をギュッと握った。


息を、吸って…

吐いて。



「にの?」

「…うん、オレも」


オレも
息をするように…そう、言った。








miu