つづきです…







ビクビクしながら事務所に顔を出したが、予想に反して、特段 苦情は上がらなかったらしい。

良かった…

ほっと胸をなでおろしたオレは スーパーで買い物をして、アパートへと帰った。


「ただいま」

「おかえり、相葉さん!
…あれ?なんか、元気ない?」

「ちょっとね…」


汗でベタついたシャツが 気持ちが悪い。引き剥がすように脱ぐと、洗濯機に放り込んだ。
そのまま ユニットバスで頭からシャワーを浴びる…


ん?!

視線を感じ、振り返ると
心配そうな顔をしたニノが、シャワーカーテンから生えていた。

剥き出しのオレの下腹部が…
ちょうどニノの口元に位置し、慌てて腰を引く。


「もう〜///// 覗かないでよ」

「だって…」

「すぐ出るからさ、待ってて?」


シャワーのコックをひねり、ザッと身体の水分を拭き取る。湯気の満ちたユニットバスのドアを開け、換気した。
部屋に戻ったオレは、洗って干してあったボクサーパンツとTシャツを手に取り 身につける。


プシュっ…

冷蔵庫から取り出した缶ビールをテーブルの上に置き、プルタブを開けた。
帰りに少し振ってしまったんだろうか?
軽い音が鳴るのと同時に、白い泡がひとすじ流れ落ちた。


掴まれた腕を ジッと見つめる。

…不思議な人だった。

つかれてる…
疲れてる? って言ったのかな?

眉間にシワ寄せてたけど、怒ってる感じでもなかった。心配してくれたのかも。
でも、いきなり腕掴まれたらビックリしちゃうじゃん。ちょっと痛かったし。


「へぇ…そんなことがあったんだ」

「うん。でも…悪い人じゃなさそうなんだよなぁ」

「アナタにかかれば、みんな良い人になっちゃうのよ」

ふふ、と ニノが 笑った。


「…おいで?」


両手を広げ、ニノを身体に招き入れる。


指先、手のひら、膝

少しずつ身体が重なり
近づけた唇が…重なった。





つづく





miu