つづきです









温かい濁が手を濡らしポタポタと床に落ちる。ティッシュに手を伸ばして拭き取ると、それをゴミ箱へと投げ入れた。

熱を吐き出したモノは 一回り小さくなり、下を向いている。


(あの…相葉さん…ゴメンね)


申し訳なさそうな声が頭の中に響き、ガクッと身体が大きく揺れた。
何かが するりと出ていく感覚…
顔を上げると、部屋の隅でニノが項垂れていた。


「別に…良いよ ////////」

「…でも…」

「だって、ニノだって男だし…生理現象でしょ」

「怒ってないの?」

「怒ってなんかないよ。
それより久しぶりのオナニーはどうだった?」


冗談めかして、そう言ったのに…


「…すごく、気持ち良かった/////」


そういって、ニノは恥ずかしそうに 飴色の瞳を伏せた。そのまつ毛が落とす淡い影が、とてもキレイで…

ドキドキドキ

興奮は冷め 躰は落ち着いたはずなのに
その後も…オレの鼓動は止まらなかった。







それから暫くは、何事もない日々を過ごした。


朝起きて おはよう を言い
ニノに見送られバイトに出かけ

疲れて家に帰ったオレを
おかえり  と 迎えてくれる笑顔

お笑い番組を観ては笑い

時々、身体の中にニノを入れ、一本の冷えたビールを 二人で味わう


…そんな、毎日。

一緒に暮らし始めた当初は、オレの周りをじゃれついて飛び回る、ワンコのようだと思っていたが、今では何て言うか…

隣にいるのが当たり前で
でも、ドキドキして

ニノに触れることは出来ないけど
もし触れられたら ギュってしたい、なんて…


「ん? 相葉さん、どうかした?」

「…何でもない/////」

「顔が赤いけど。熱があるんじゃない?
……って、やっぱ、分かんないや」


ピトッと、おでこをくっつけて、恥ずかしそうに離れていくニノ。

赤く染まった頬は…多分、オレと同じ色。


窓の外を見れば
ハナミズキは薄黄色の花を終え

青々とした葉が 風で揺れていた。






つづく



miu