つづきです。

興味のある方だけ…










最後に訪れてから
3年と…8ヶ月くらい?

本来なら、子供の頃に遊んでいた場所なんて、小さく感じるものだろう。

…でも、不思議だね。
キミのいない公園は あの頃よりも広いような気がする。

ベンチへと腰を下ろし、オレは目を閉じた。


スクランブル交差点のど真ん中で
一人…うずくまっているみたい。

周りが 凄いスピードで流れる中、道路に転がった石ころのように、誰にも認識されず自分だけがポツンと取り残されているよう。


…怖い。


どこにも…

ここにさえ、オレの居場所はなかった。


オレンジ色だった空は、闇に溶け
紫色の影を落とし始めていた。


「もぅ、さ…家に帰る時間だよ」


日が暮れたら 家に帰る というのが、小学校の頃のオレたちのルール。


幼い日の想い出を この場所に残し

やっと…重い腰を上げたオレは 
公園の出口に向かって歩き出した。



……?

声が、聞こえる。


「ニノ、ニノ?! いるの?!」


ぶつかりそうな勢いで、視界に飛び込んできた影。驚いたオレは、思わず後ろに倒れ込んでしまった。


「あ…いば、くん」

「…ニノ!!」


覆いかぶさるように、ギュっと強く抱きしめられた。

その声は、少し…震えている。


「松潤が バスで ニノを見かけたって連絡をくれて…でも電話しても繋がんないし、オレ…必死で」

「電話…?」


ポケットからスマホを取り出すと、画面は真っ黒になっていた。
朝からずっと、電車の乗り継ぎや、相葉くんの高校を探すためにマップを使っていたりしたから…充電が切れてしまったようだ。


「…ごめん、全然 気が付かなくて」


相葉くんは ブンブンと頭を横に振り

良かった…ほんとに良かった  と
何度もつぶやきながら

オレの背中に回した手を
決して離そうとはしなかった。





つづく



miu