末ズのお話です。
軽くBL含んでおりますので、苦手な方はご遠慮ください。

以上、ご注意をお読みいただいた上
読まれる方は 自己責任でお願いいたします。











side : N




季節は 足早に移り変わってゆく

夏から秋、そして冬へと…。



そんな中、進路調書が配られた。


「これは、大切な書類だから。
家の人と良く話し合って提出するように」


先生の声が教室に響く。



来年の今頃は

…オレは もう、いない。


18の誕生日まで、あと半年と少し


俺の時間は
そこで終わるから。


夏の暑さも

オレンジ色の  秋の夕暮れも

吐く息が 白くなりつつある
朝の…通学路も。


日々の全てが
終焉に向けて  動き出していた。



進路って…

こんなのさ、オレに 書けるワケないじゃないよ…


配られたプリントを ギュっと 握りしめ

俯いた。






「なあ、お前んち…行っていいか?」

潤が  眉間にしわを寄せて言う。

「うん…」


自転車の後ろに足をかけ、肩に手を置くと

潤は 二人分の重さのペダルを
ゆっくりと漕ぎ始めた。




「ニノは…どこの大学受けるの?

…まさか、海外にいるっていう親のところに行くとか 言わないよな?」


潤は、真っ直ぐ俺を見て
言葉を 絞り出した。


あ。

…そういえば オレたち
今まで 先の話なんてしたことなかったよね。


……ゴメン。

オレに未来がなくても

潤には その先が あるのに。


やっぱりオレは 自分勝手で…弱いよね。


見上げると、何かを 察したように…
潤の瞳が 揺れていた。


…だけど…安心して?

オレの記憶は キレイに消え去って
その存在すら残らない。


オレが 居なくなった後

潤が 思い悩む事は無いから。




でも

…それでも願わずにはいられない。



「…あぁ、それは無いよ。
ずっとココに…潤の側にいるよ? 」


ココに。

この 潤の胸の奥底に

…ほんの 少しで良いから
オレの欠片が 残りますように。


オレの愛した 痕跡が…



指先で  潤の胸に触れながら
…こみ上げる雫を 堪えていた。


今のオレには 先のことは考えられない…

そう伝えると


『ニノのやりたい事を一緒にやろう』
と 言う。

『俺が手伝うから』   と。


苦しいくらいに 抱きしめられて…


あの時  この部屋で 
初めて触れた 潤の唇を思い出していた。


ずっと…
永遠に続くんじゃないかとさえ思えた 
幸せな 時間。


もしも願いが叶うなら  

もう一度だけ…




「………キス、して欲しい….」

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気づいた時には
そんな言葉が 零れ落ちていた。




つづく


miu



重っ!!

自分で書きながら…更に気分は沈んで行く。笑