お隣さん…ラストです。







side: M





…もう  此処に来るつもりは無かったんだ。


相葉さんに 

『来ないでくれ』

と言われた所為では 決して無い。



あの事は。

俺の犯した  過ちは

償うことすら許されない  枷として
いつまでも 背負ったまま   
一生 抱えて生きていく

そう…心に決めていたのだけれど


……でも  それは結局  
自己満足でしか無かった。


俺は  自分の為に 
此処に 来ていたに過ぎず


それは ニノにとって…
何の意味も為さない。

むしろ、俺の影が ニノの目に触れたなら

その時は  
再び ニノを傷つけるだけなのに。


…どこまでも  俺は 勝手だった。


そう 気付いて

もう、此処に来る事は やめようと
思ったんだ。





「なぁ、ニノの顔…見てくれば?」

「…いや、もう行かないって決めたから…」

「明日…天気が 悪くなければ、前と同じ時間、同じ場所で 釣りしてる筈だから」


あれから

櫻井さんとは  仕事上で
付き合うようになり

ずっと…会う度に ニノの 近況などを  
教えてもらっていた。


この日、久しぶりに会った櫻井さんは

何かを含むように そう言って
帰って行った。


行くべきか 迷って…
俺は今  此処にいる。


櫻井さんの言葉。

そこに 何か…意味がある気がしたから。




コンビニの駐車場に車を置き

少し離れた この場所から
ニノの姿を 眺めていた。


…最初は  つまらなそうに 
釣り糸を垂れていたんだ。


だけど その表情は やわらかい。


視線の先は  何か…
愛おしいものを 見つめるようで

時折見せる
思い出したように弾ける笑顔が  

とても…眩しかった。




以前 ココで見た   空っぽな 顔。

ニノの空虚な 表情に 
痛いくらい 打ちのめされた。



自分の 罪に

…俺は ただ ひたすら
心の中で詫びるしか出来なかった。



それなのに

この一ヶ月の間で 何があった?


今、そこに居るニノは  前を向いて
確かに  未来を 見据えている。




…… ニノに 近づく影。


そいつが  一言、二言…話しかけた瞬間
ニノの表情が 緩んだ。


俺の 見たことの無い  極上の微笑み。

目を細め  見つめる
蕩けるような  その表情。



出会って…離れて…再会して…

俺の記憶の中の ニノを
全部…引っ張り出してみたけれど

こんなに キレイなお前は 
見たことないよ。

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そうか。


……この人が  大野さん、なんだね?






「ニノ…良い顔してるだろ?」


後ろから突然 声を掛けられ
驚いて 振り返る。

…そこには、櫻井さんが 立っていた。


「お前には…まだ  酷だったか?」


俺は 頭を横に振った。


「…いいえ、良かった。
ニノは 今…幸せなんですね?」

「ああ。だから…お前も 前を向いて行けよ。
心の底から笑えるようになったら。
その時は…

あの  とびきりの笑顔、お前にも向けてくれるから」

「そっか。
……俺  前を向いて 良いのかな」

「…誰よりも ニノが  そう願ってるよ」


肩に置かれた 櫻井さんの手は
とても 温かかった。


「…櫻井さん…ありがとう」


俺は  もう一度だけ  ニノに視線を戻し

その 幸せそうな姿を 
目に 焼き付けた。



ニノ……お前を  愛してたよ。



俺は 駐車場へと向き直り
一歩 踏み出す。



潮風が  優しく髪を揺らし

そっと…
俺の背中を 押した。




終わり


*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

お隣さん、終わりました。

元々は ノーマルな恋愛話を書いていた私のブログ。(1コ前ね)
でも、中学生の頃からの(笑)腐った趣味は健在で。我慢できずに 別のお部屋で コソッとBLを書き始めました。

…お隣さんは  その頃から書いていた、私にとって特別なお話です。

今では 閉じてしまったのも含め、3つのお部屋を経て  ここまで来ました。

途中、エロが少なくて飽きたり。笑

展開が辛くて。
書けなくて。
何度も止まって。

でも  自分で思い描いていたような ラストに 辿り着けたと、下手くそなりに 満足してます。


1年半くらい前の  今はもう閉じてしまった、BL専用の umi ブログから読んでくれたお友達。

ウッカリ退会しちゃった miu ブログから読んでくれたお友達。

最近知ってくれて…
この部屋で  まとめて読んでくれたお友達。


本当に ありがとう♡\(^o^)/



miu