大宮さんのお話です。
軽くBL含みますので 苦手な方はご遠慮下さい。
あれから 一月ほどが過ぎ
この 海沿いの小さな町で
智とふたり
静かに暮らしていた…
……筈だったのだけど
帰国後、智に個展の話が 持ち上がり
最近では、東京と この場所とを
慌ただしく行き来している。
今更ながら…
凄い賞を取ったんだ と
ただ 驚くばかりだった。
ある 日曜日の午後
ワタシは 久しぶりに 海に来ていた。
釣り仲間の 近所のおっちゃん は
親戚の結婚式とかで 早々に引き上げ
ワタシは 独りで のんびりと
釣り糸を垂れていた。
魚が釣れたら、煮ようか…
それとも焼こうかな?
あの人、打ち合わせの最中に 寝てないかな?
昨日 遅くまで描いてたし。その後も…
/// あーもう、腰が痛い…
帰ってきたら 智にマッサージして貰おう。
なんて事を
ボー…っと 考えながら。
「…にの、 釣れた?」
!?
突然 耳元で 響いた声に
驚いて 釣竿を 放り投げそうになった。
「…っ、急に声 かけんなや!?」
「何か、ニヤニヤしてたから …面白くて見てた」
…げっ。見られてた?
気恥ずかしくて…
プイッと 顔を逸らした。
「…打ち合わせ終わったの?」
「やっと 一段落ついたよ。
これで、チョットはゆっくり出来るかな~!」
「…ふーん?」
「ね、にの…
もしかして 寂しかった?」
智から 視線は 外したまま
少しだけ 間を置いて…
ポツリ、と呟いた。
「……もしかしなくても 寂しかった」
遮られる 陽射し
近づく 唇
それは そっと…触れ
小さく音を立て 直ぐに 離れた。
「ちょっ、外では…やめなさいよ /// 」
「んふふ、にのが可愛くて…我慢できなかった~♡」
そう言って 背中側へと回って
腰を下ろした。
~♪~♪………
相変わらず 歌詞のない
そのメロディーを奏でながら
ガサガサと スケッチブックを
広げている。
智の背中に寄りかかり 身体を預ける。
どこまでも
高く遠く続く…この青空の下
優しい 潮風に包まれて
ワタシは そっと 目を閉じた。
miu
潤くん目線のお話で…一応ラストです。