大宮さんです。
軽くBL含みますので 
苦手な方はご注意下さい。










「…ずっと、智と一緒にいて良いの?」

「んふふ…何言ってんだよ。
ヤダって言っても 離さないから。

あ、おいら…にの に 報告があるんだ」

「ん?   …何?」


明かりをつけ

壁に立てかけてあった キャンバスを
手に取った。

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淡い色彩で  柔らかい印象

それでいて…
凛とした 雰囲気を持つ  この絵。


この絵を見た瞬間に
智が描いたものだと…直感したよ?




「これ、さ。直接 人物を描いては無いけど…
にの をイメージして描いたんだ。
向こうのコンクールで 金賞取って…」

「そう…なんだ?!   おめでとう 智!!」

「おいらさ、賞が欲しかったワケじゃないんだけど…向こうで やってきた事を形に残したかったんだ。
それと…にの の所に帰る目標、って言うか…区切りを付けたくて。
この賞をとったら、日本に堂々と帰ってやる!って 決めたら …1年以上帰れなかった」


「… 智…」



まさか ワタシを描いてくれてたなんて…



言葉に 詰まって
また…涙が溢れた。


「あ~っ!もう、泣くなよ。目ん玉溶けてなくなっちゃうから!」

「だって…」

「それとさ、コレ…」


ガサガサと 鞄の底から取り出した
小さな…箱。


「コンクール…賞金が 出るから。
…それで買おうって、そう 決めてたんだ」


箱を開けると…

中には 白金色に輝く
シンプルな  指輪が 納められていた。


「あの時は…何も持ってなくて。キス一つしか やれなかったから」



旅立ちの日の朝

この部屋で交わした約束と同じように


ワタシの左手を取り 
そっと…薬指に口付けた。


そして  そのまま…

薬指へと  指輪を 滑らせていく。


あの頃より 
チョット痩せてしまった所為か

はめられた指輪は 少し 緩かった。


大切な  ふたりの約束の証を
胸元へ引き寄せ  右手で慈しむ。


…なぜだろう?
金属なのに こんなにも温かい…。



「…コレさ、どんな顔して買ったのよ…」

「ん~?   …こんな顔」


智は  ふざけた顔をして見せた。


フフッ…

んふふ…



長い間 … 人気も無く 
静まりかえっていた この部屋に

久しぶりに  明るい笑い声が 響いた。



つづく


miu