もう …何度  果てたのだろう。


無限に せり上がる 吐 精 感 に
愉楽を通り越して….

苦痛が 躰を支配していた。


意識は 遠のき…

朦朧となりながらも


「…うッ…ん…」

とめどなく 吐き出される 
体 液 は

蕾から 溢れ  伝い落ち

足元に 小さな  
乳白色の 水溜を つくっていた。


”雅紀と 逝くのなら
それも良いかもしれない”

そんなことを  思いながら


俺は 静かに 
樹の幹に  躰を預け

…確かに 此処に居る  ”誰か”  を


受け入れる様に 眼を閉じた。

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ああ…

思い出したよ。





櫻の樹の下には…










屍 体 が 埋まっている んだったね。





このまま  ココで  朽ち果てて
雅紀と 俺と…



あなたと。




全てを  降り注ぐ 花びらに
隠してもらおうか。


そうすれば  何時しか…

俺たちは  溶けあって
ひとつになれる。




もう….何も考えられない。



サワサワと  
花枝の 囁く声が  

意識を  遠い 彼方へと
導いて行く。





連れて  行かないで…



!?  
微かに聞こえた
雅紀の声に 我に帰る。


目を開けると…
雅紀の瞳から  涙が 零れていた。


「しょ…ちゃん、ダメだよ…」


そう言って 崩れ落ちた。


「…雅紀!!」


慌てて 受け止め

…気付けば  叫んでいた。



「俺も、雅紀も…
あなたと 一緒には 行けない!! 」




そうだ。
逝くわけには いかない。


その 瞬間…

頭上から
花びらが 零れ落ちてきた。

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初めは  ハラハラと  
舞っていたものが

次第に 花吹雪となり…

風に舞った花びらで
視界は…覆い尽くされていた。


意識のないままの  雅紀を…
守る様に 抱きしめながら  


…見上げれば


散り急いでいた 花吹雪は
やがて静まり

桜雲を  消し去っていた。


その 隙間から…
やわらかな 光が  差し込む。


月明かりに 照らされながら

やがて  俺も…
意識を 手放した。



つづく




2015.4.8  miu