お隣さん 大宮編

”Neighborly love  20” から
”Neighborly love  21”  の 間のお話になります。







「…大野さん  さ、ちょっと  良いかな?」

にの が 帰ってくるのを
部屋で待っていた おいら。

突然   翔さんに 呼ばれ
隣の部屋へと 移動する。

…入れ替わるように
相葉さんが  にの の部屋へと
入っていった。




暫くの間… 
ふたりとも 黙ったまま だった。


「……本当に 行くの?」

翔さんが 沈黙を 破る。


明日  発つことは…
相葉さんには  伝えてあった。




「…はい。  行ってきます」

自分に言い聞かせる ように
言葉に した。

そうでもしないと 
今にも 決心が  揺らぐ。


「でも、 勉強したら 必ず帰ってくるから…」

「…本当?  ニノを悲しませたら  許さないから」

「…大丈夫、です…」


言いながらも…本当は 自信がなかった。

にの と離れたら  
ダメなのは 自分かもしれない。


埋まったはずの穴が  開いて

再び 寂しさに 飲み込まれるんじゃないか…

そう、思った。


にの を 悲しませたくはない。

でも、もしも…
離れている 間に  

にの の 気持ちが 揺らいだら?

待っていて くれるだろうか?

信じている はずなのに
ふ、と  過る不安。


そんな 暗い感情が  渦巻いて…。



「あんたが  そんなんで…大丈夫なのかよ!!」

見透かされた様に言われて、ハッとした。


視線を 自分の手に落とす。


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何があっても  おいらは  にの の手を離す気はない。

もしも 
不安に飲み込まれたとしても

一度 掴んだ  この手は…離れることは無い。


それでも   万が一  
見失うことがあったとしたら


その時は  互いを求めて
…必ず  引き合うから。


だから  大丈夫。

安心して  待ってて?



それを ちゃんと  伝えなきゃ。



「…大丈夫です!」



翔さんの  眼を
正面から 見据える。


「…ふん…いい面構えだな 。

ま、大野さんが いない間は …
俺らが  いるから  心配すんなよ。

それで、だ。

ニノと…このままで 良いワケ?」

「このままって…?」

「…鈍いな。ヤらないまま  行くの?」

「えっ?!  何で…知ってんの?」

「まあ、この際 それは置いといて。
…どうなの?」



”にの  を  愛してる”
…そう 気付いた時から
本当は 欲していた。

にの の  全部  を  感じたい。

だけど…

自分勝手な欲望を ぶつける事は
出来なくて。


『して…みよう、か…』

震えるような  小さな声で  
そう  言った…  にの。

でも   結局は 出来なくて。

そりゃ そうだよね。

どう考えたって
…にの の 躰に 負担がかかる。


本来  そういう事で 使う場所じゃないんだから。




でも。


にの と  ひとつに なりたい。


与えるかもしれない   痛みでさえ

にの に  刻んで…
自分を 感じさせたい  なんて

こんな 我儘 な想いを 許してくれる?


にの の 全てを 持って 旅立ちたい。

必ず 戻ってくるから…

預かって 行って いいかな?




「…翔さん。

なるべく躰に 負担を  かけないように…できるかな?」

「…ああ。」




つづく

miu