【要旨】
高い寸法精度で三次元造形物を効率よく製造することができる三次元造形物製造装置および三次元造形物の製造方法を提供すること、高い寸法精度で製造された三次元造形物を提供すること。
三次元造形物製造装置100は、層1を積層することにより三次元造形物を製造する装置であって、三次元造形物が造形される造形部10と、造形部10に硬化性インクを吐出し、インク層2を形成する吐出部11と、インク層2の中の硬化性成分の少なくとも一部を硬化する予備硬化手段12と、造形部10に吐出された硬化性インクで構成されたインク層を平坦化する平坦化手段12と、インク層2を平坦化する平坦化手段13と、平坦化したインク層2中に含まれる未硬化の硬化性成分を硬化する本硬化手段と、を有する。
【従来技術】
従来、三次元CADソフト等で生成した三次元物体のモデルを基にして、三次元造形物を形成する方法が知られている。
特許文献1には、 三次元造形物を形成する方法の一つである積層法が開示されている。積層法では、一般的に、三次元物体のモデルを多数の二次元断面層に分割した後、各二次元断面層に対応する断面部材を順次造形しつつ、断面部材を順次積層することによって三次元造形物を形成する。
積層法は、造形しようとする三次元造形物のモデルさえあれば、直ちに形成することが可能であり、造形に先立って金型を作成するなどの必要がないので、迅速にしかも安価に三次元造形物を形成することが可能である。また、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層して形成するので、例えば内部構造を有する複雑な物体であっても、複数の部品に分けることなく一体の造形物として形成することが可能である。
【課題】
三次元造形物の三次元データを分割した平面画像をインクジェット法にて描画し積層することで造形物を形成するが、インクジェット法でインクを吐出して層を形成した場合、各層の厚みのバラツキにより、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度が低下するといった問題があった。
【請求項1】装置
三次元造形物が造形される造形部と、
硬化性成分を含む硬化性インクを吐出し、前記造形部上にインク層を形成する吐出部と、
前記インク層の中の前記硬化性成分の少なくとも一部を硬化する予備硬化手段(紫外線照射手段(加熱でもよい))と、
前記インク層を平坦化する平坦化手段と、
を備えることを特徴とする三次元造形物製造装置。
【改】配置
造形部と、
前記造形部の少なくとも一部(造形部の長手方向であるx軸と交差するy軸全体)を覆う吐出部と、
前記吐出部に並んで配置される予備硬化手段と、
前記造形部と前記吐出部との間に配置される平坦化手段と、
を備え、
前記吐出部は、硬化性成分を含む硬化性インクを吐出することで、前記造形部上にインク層を形成し、
前記予備硬化手段は、紫外線を放射することで、前記インク層の中の前記硬化性成分の少なくとも一部を硬化し、
前記平坦化手段は、前記インク層を平坦化することで、前記造形部に三次元造形物を造形する、
ことを特徴とする三次元造形物製造装置。
【請求項2】
前記平坦化した前記インク層中に含まれる未硬化の前記硬化性成分を硬化する本硬化手段(加熱手段)
を備えることを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物製造装置。
【改】
前記平坦化手段は、本硬化手段(内部にヒーター)を有し、
前記本硬化手段は、平坦化した前記インク層を加熱することで、前記インク層中に含まれる未硬化の前記硬化性成分を硬化する
ことを特徴とする請求項1に記載の三次元造形装置。
【請求項3】
前記平坦化手段は、平板(ローラーでもよい)である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元造形物製造装置。
【請求項4】
前記平坦化手段は、前記平坦化手段に対して(微)振動を印加する振動印加手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の三次元造形物製造装置。
【請求項5】
前記平坦化手段の前記インク層と接触する領域(表面)には、撥液処理(フッ素加工等)が施されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の三次元造形物製造装置。
【請求項6】方法
硬化性成分を含む硬化性インクを吐出し、インク層を形成するインク吐出工程と、
前記インク層中の前記硬化性成分の少なくとも一部を硬化する予備硬化工程と、
前記インク層を平坦化する平坦化工程と、
を備えることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
【請求項7】
前記平坦化工程において(は)、複数の前記インク層に対して同時に平坦化処理を施す
ことを特徴とする請求項6に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項8】
前記インク吐出工程において(は)、複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから、前記硬化性インクを吐出するものであり、
前記各ノズルにおける前記硬化性インクの吐出量のばらつきを測定したばらつきデータに基づいて、平坦化を行う
ことを特徴とする請求項6または7に記載の三次元造形物の製造方法。
【改】
前記インク吐出工程において(は)、複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドから、前記硬化性インクを吐出するものであり、
前記平坦化工程において(は)、前記複数のノズルのそれぞれにおける前記硬化性インクの吐出量のばらつきを測定したばらつきデータに基づいて、平坦化を行う
ことを特徴とする請求項6または7に記載の三次元造形物の製造方法。
【追加】
前記インク層を加熱し、前記インク層中に含まれる未硬化の前記硬化性成分を硬化させる本硬化手段
を備えることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項9】物①
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の三次元造形物製造装置を用いて製造される
ことを特徴とする三次元造形物。
【請求項10】物②
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法により製造される
ことを特徴とする三次元造形物。
【実施例1】
【0026】
1.三次元造形物製造装置
まず、本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態を示す断面図である。
【0027】
三次元造形物製造装置100は、硬化性インクを用いて形成した層(単位層)1を積層することにより、三次元造形物を製造する装置である。
【0028】
図1に示すように、三次元造形物製造装置100は、三次元造形物が造形される造形部10と、造形部10に硬化性成分を含む硬化性インクを吐出し、造形部10上にインク層2を形成する吐出部11と、インク層2中の硬化性成分の少なくとも一部を硬化する紫外線照射手段(予備硬化手段)12と、予備硬化したインク層2を平坦化する平板(平坦化手段)13と、を有している。
【0029】
造形部10は、三次元造形物製造装置100の造形ステージ、または、三次元造形物の造形工程において、インク層の積層工程での平坦化後のインク層である。当該造形部10上に硬化性インクが吐出され、インク層2が形成される。
【0030】
吐出部11は、造形部10に対して相対的にX軸方向に移動して、造形部10上に硬化性インクを吐出する機能を有している。造形部10上に吐出された硬化性インクは、インク層を形成する。
【0031】
吐出部11は、インクジェット方式で、硬化性インクの液滴を吐出する液滴吐出ヘッドが搭載されている。また、吐出部11は、図示せぬ硬化性インク供給部を備えている。本実施形態では、いわゆるピエゾ駆動方式の液滴吐出ヘッドが採用されている。また、本実施形態では、吐出部11には、液滴吐出ヘッドとして、ノズルがY軸方向に複数並んだラインヘッドが採用されている。ここで、「ラインヘッド」とは、X軸方向と交差するY軸方向に形成されたノズルの領域が、造形部10全体をカバー可能なように設けられ、吐出部11又は造形部10の一方を固定し他方を移動させて層1を形成する三次元造形物製造装置に用いられる液滴吐出ヘッドである。なお、ラインヘッドのY軸方向のノズルの領域は、三次元造形物製造装置が対応している全ての造形部10のY軸方向全体をカバー可能でなくてもよい。
【0032】
紫外線照射(予備硬化手段)12は、インク層2に紫外線を照射し、インク層2中の硬化性成分を硬化(予備硬化)させる機能を有している。本実施形態の紫外線照射手段12は、インク層2中の硬化性成分の一部を硬化するよう構成されている。インク層2中の硬化性成分の一部を硬化することで、インク層2は流動性がなくなる程度に硬化する。
【0033】
また、紫外線照射手段12は、吐出部のX軸方向の両端に設けられており、吐出部11とともにX軸方向に移動するよう構成されている。吐出部11が硬化性インクを吐出しつつ、図中左方向に移動する際に、図中右側の紫外線照射手段12によってインク層2の予備硬化を行う。一方、吐出部11が硬化性インクを吐出しつつ、図中右方向に移動する際には、図中左側の紫外線照射手段12によってインク層2の予備硬化を行う。
【0034】
平板(平坦化手段)13は、インク層2を平坦化する機能を有している。
具体的には、平板13によって、インク層2表面を押圧することにより、インク層2表面を平坦化する。
【0035】
本実施形態において、平板13は、インク層2を加熱する機能を有している。インク層2を加熱することでインク層2の未硬化の硬化性成分が硬化する。すなわち、平板13は、硬化手段(本硬化手段)としても機能する。
【0036】
また、平板13には、図示せぬ振動印加手段が設けられている。インク層2を押圧する際に、振動印加手段より振動を印加し、硬化性インクが平板13表面に付着しないよう構成されている。
【0037】
また、平板13表面は、フッ素加工等の撥液処理が施されており、硬化性インクが付着しにくい構成となっている。
【0038】
本実施形態では、図1に示すように、平板13によって、複数のインク層2をまとめて平坦化するよう構成されている。なお、インク層2を1層1層平坦化するよう構成してもよい。
【0039】
以上のような構成の三次元造形物製造装置100によれば、容易にインク層2を平坦化することができ、厚さの均一な単位層1を形成することができる。その結果、高い寸法精度で三次元造形物を製造することができる。
【0040】
なお、上記説明では、硬化性インクの予備硬化手段として紫外線照射手段12を用いた場合について説明したが、これに限定されず、加熱により硬化させる加熱手段であってもよい。
【0041】
また、平坦化手段として、平板を用いた場合について説明したが、平坦化手段としてローラーを用いてもよい。
【実施例2】
【0042】
2.三次元造形物の製造方法
次に、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
【0043】
本実施形態の三次元造形物の製造方法は、層1を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、硬化性インクを吐出してインク層2を形成するインク吐出工程と、インク層2中の硬化性成分の少なくとも一部を硬化(予備硬化)する予備硬化工程と、予備硬化したインク層2を複数積層する積層工程と、インク層2を平坦化する平坦化工程と、インク層2中の未硬化の硬化性成分を硬化する本硬化工程と、を有している。
【0044】
以下、上述したような三次元造形物製造装置100を例に挙げて説明する。
まず、吐出部11が図1中右方向に移動しつつ、造形部10に硬化性インクを付与し、インク層2を形成する(インク吐出工程)。
【0045】
また、吐出部11から硬化性インクを吐出しつつ、吐出部11に追従して移動する紫外線硬化手段12によって、インク層2に紫外線を照射し、インク層2中の硬化性成分の少なくとも一部を硬化する(予備硬化工程)。
次に、予備硬化を施したインク層2を複数層積層する。
【0046】
次に、平板13と複数層積層したインク層2を向かい合わせ複数層積層したインク層2
を押圧し、インク層2を平坦化する(平坦化工程)。なお、平坦化を施すインク層2は、液滴吐出ヘッドの各ノズルにおける硬化性インクの吐出量のばらつきを測定したばらつきデータに基づいて、決定する。すなわち、ばらつきデータに基づいたインク層2の厚さのばらつき具合と平坦化手段による平坦化可能なばらつき範囲とを考慮して、もっとも効果的な時に平坦化を行う。
【0047】
また、平板13によってインク層2を平坦化しつつ、平板13によってインク層2を加熱し、インク層2中の未硬化の硬化性成分を硬化させる(本硬化工程)。
平板13内部にはインク層2と接触する平板13の表面を加熱するヒータが配置される。平板13を所定の温度(例えば、50℃から240℃、より好ましくは80℃から130℃)に維持しておき、インク層2を所定の圧力に達するまで加圧する。次に、所定の圧力を保持しインク層2を平坦化する。平坦化後、インク層2と接触する平板13を引き離する。なお、引き離す際には、平板13の表面を加熱するヒータの電源を切るなどして、平板13を冷却してから引き離してもよい。または、平板13を所定の温度から、インク層2中の未硬化の硬化性成分を硬化させる本硬化温度まで、加熱しながらインク層2を所定の圧力で加圧してもよい。
平板13の表面は、鏡面状であるのが好ましい。
【0048】
また、平板13の表面の表面粗さRaが0.8μm以下であるのが好ましく、0.1μm以下であるのがより好ましい。
【0049】
これらの操作を繰り返すことにより、層1が積層した三次元造形物を得ることができる。
【0050】
このような三次元造形物の製造方法によれば、容易にインク層2を平坦化することができ、厚さの均一な単位層1を形成することができる。その結果、高い寸法精度で三次元造形物を製造することができる。
【0051】
なお、上記説明では、複数層のインク層2に対して同時に平坦化処理を施すものとして説明したが、1層ずつ平坦化を行ってもよい。