◾️【ロリータ(著者:ウラジーミル・ナブコフ)】
1955年出版

○トータルおすすめ度 4☆☆☆☆★
○大学生のおすすめ度 4☆☆☆☆★

・約560ページ
・使用時間:12時間
・自分の本書のペース:8ページ/10分

①おすすめ度(全体&大学生)と
②読むのにページあたりどれくらいかかったか
 読書ペースを載せてみます
 少しでも参考になりましたら。

●紹介本文
 ロリコン:ロリータ・コンプレックス《(和)Lolita+complex》幼女・少女にのみ性欲を感じる異常心理。少女ロリータを愛する男を描いた、ナボコフの小説【ロリータ】による語。

 マザコン、ブラコン等がマザー・コンプレックスと一般名詞から由来してる中、ロリコンはある1作品から由来してると知って昔驚きました(ショタコンの由来は冗談かと思いましたが、【鉄人28号】の正太郎くん)

 日本では『ロリコン』という言葉は、定義や、性犯罪事件や、オタク文化や、ロリィタファッションとの差などで時代時代で曲解されて来ている、と思っています。その概念・文化の大元となった古典名作【ロリータ】作品好きなんで映画は1997年、1962年のものともに観たことありましたが、いよいよ今回は原作読んでみました。

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 幼き頃の悲恋より、少女(ニンフェット)しか愛せなくなった主人公・ハンバート・ハンバート(H.H)(本編中だいたい40歳過ぎ)一度は適齢な女性と結婚したりもするが、うまくいかず今は1人身

 下宿先を探している際、未亡人ヘイズ婦人に「我が家は?」と紹介される、乗り気になれないH.Hだったが帰ろうとした時、12歳のロリータに出会う。ヘイズ「うちの娘よ」H.H「下宿します」ラブコメみたいなテンポ

 下心満載で下宿人となったH.Hにロリータもまんざらでもない態度、この辺りの『大人の男をからかう小娘ファムファタール描写』は本作の"陽"の見どころなのでとても楽しい(もちろん、嫌悪感が沸く人には目も当てられん)

 ロリータがキャンプで1ヶ月ほどの長期不在になる時期にストーリーは動く、ヘイズ婦人から「結婚して、でなければ出て行って」と告白、H.Hは悩んだあげくロリータを手に入れるための手段としてヘイズ婦人と結婚、しかし1か月もしない内にH.Hの本音を綴った日記を見つかりヘイズ婦人大激怒、「終わった」と思っていたら外に飛び出したヘイズ婦人が車に轢かれて死ぬという急展開!
 さあロリータを迎えに行こう♪これから2人だけの生活だぁH.H

 母の死を知る前のロリータのファムファタールっぷり、そして知った後の"陰"と"陽"H.Hに対しての"甘え""反発""誘惑"わがまま""嫌悪""不安定""性"ぐちゃぐちゃに入り乱れたロードノベルは凄まじい、さてどう終着するのか

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 物語は、獄中で死んだH.Hの手記という形で語られる。
 ロリコンなH.Hの主観で語られるので、気持ち悪い主観表現(作品表現として秀逸とも言える)が随所に出てきて、手がとまる(女性は読んだらどう思うんだろ?娘を持つ母親とか)
 途中途中、裁判にかけられる中での陳情文の様な形での語り口になるのだが、H.Hの自己愛・自己中心性がすごくでている(「私がロリータを幸せにしようとしているのに、まだ幼いあの娘はそれが分からず、若い男に色目を使ったりする、間違いを認めさせなくては」)
 全編通して、ロリータに狂っているのでは無く、"自分本位のわがままな愛"に狂っていることが滲み出ている。

 よく『ロリコンとは、自分を否定されたく無いから、"立場の弱い幼い娘"に惹かれる結果』と言う通説があるが、原点古典の本作こそ『少女愛好』を描いている様で『自分本位でしかない押し付けの愛』を描いていると感じた。
 男はみんなH.Hの様な自分本位な所があるので、たまにロリータをみて反省しないと。

 ロリータはその後ついたロリコンキャライメージの幼いイメージ、お淑やかなイメージ、フリフリしたイメージでなくて、見事にギャルなのが、言葉の1人歩き感があってメタ的に好きなところです。

 あと言いたいだけですが
 作家でありロリィタファッション愛好家の嶽本野ばらさんがファッションの質問に
「ロリータとギャルの共通点と相違点は、どちらもフィギュア・コンプレックスに支配されていながら、その対象となるフィギュアが違う、ロリータは『不思議の国のアリス』で、ギャルは『バービー人形』」と言っていたのが印象的。
小説のロリータはギャルなのがこう言う時に面白い

 文化は誤解して伝わり、新解釈で使われる、その時の求める人々によって