次男。
夏休みになり、やたらとぐだっとすることが多くなった。
部活へも行かない。
なぜ行かないのかも、その理由を伝えることができない。
「考えている」
この言葉を何度か聞いた。
何度か同じことを繰り返したので、切り出してみた。
いつも考えているって言うよね。
その考えは結論出たの?
。。。
考えているって言うときは、考えているんだと思う。
だけど、私がいなくなると、考えることやめてない?
それだと、また同じ状況になった時に、
また考えるってことになってないかな?
考えているんだよ。
でも、わからないんだ。
わからなくなって、どうしていいのかもわからなくなる。
部活も、行きたくない理由はある。
誰かが誰かに意地悪をしているのを見たくない。
僕が注意すると、僕が攻撃される。
そもそも、僕は、その部活が好きなのかどうかもわからない。
行った方がいいような気もするけど、
考えていると、よくわからなくなって、体が動かなくなる。
そうなんだね。
ねえ、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ。
僕は、自分のしたいことがわからない。
だけど、いや、だからなのかな。
人が喜んでくれることを答えたいって思う。
だけど、何が正解なのかを考えていると、
それがわからなくて、何も言えなくなってしまう。
今、僕が何をしたらこの人は喜んでくれるんだろう、
何て答えたら、正解なんだろう、
僕は今、何を言うべきなんだろう。
ちょっと待って。
そこには、君の考えはある?
僕の考え?
僕の考え。。。
僕が何を思うかってこと?
あるような、ないような、、、
それよりも、相手が喜ぶことを考えているかもしれない。
そうなんだね。
人の気持ちに近づこうとすること、解ろうとすること、
安心させてあげようとするのはとても素敵なことだね。
君のその姿勢は、君の優しさだね。
だけどね、それで君が苦しいって思うのなら、
違う方法を考えてみたらどうかな?
これは、私の話だよ。
私も小さいとき、同じように思ってた。
そして、人が言ってほしいこと、
その時言う正解ってのが解ってしまった。
だから、その正解を言って過ごしていたの。
だけど、ある日、私は何なんだろうって思ったの。
私は、何を考えているんだろうって。
そしたらね、自分のことを全く知らないってことに気が付いた。
何も考えがない、何も感じていない。
それで、とっても怖くなった。
本当に怖かったんだよ。
だからね、私は、今君がわからないって思っているのが正解だと思う。
解るってことは、自分がわからなくなっていくことだと思う。
人の気持ちを考えることは、君の優しさで、
君のいいところだから、その優しさは持っていてほしい。
だけど、必ず正解しなくていい。
正解も変わっていくしね。
だから、その時、その人のことを考えて思ったことが君の答えなんじゃないかな。
大切なのは、その人に寄り添うことだと思うよ。
お母さん、僕、わかったことがある。
わからない、ってことがあるんだ。
そう言って、顔を覆って泣き始めた次男。
どうした?
どうして泣いてるの?
僕、これまでわからないことは悪いことだと思ってた。
そうじゃないんだって、わからないことがあっていいんだって思ったら、
なんかぶわーっとなったの。
楽になったの。
ありがとう、おかあさん。
いつも答えを聞かれて、答えられないと怒られたり、
なにも言わないんだ、とか、思ったことを言えとか言われて
凄く怖かったし、凄く苦しかった。
これからもそんなこともあるかもしれないけど、
でも、わからないことはわからないんだよね。
そんなとき、また話聞いてくれる?
もちろんだよ。
君がどんなことを感じたりするのか教えてほしいなって思う。
君には、私の考えじゃ、到底出て来ないようなものがあるし、
それを聞くのがとても楽しみだよ。
今、とってもいい顔してるね。
僕、本当に楽になった。
考えて、あ、これわかんないことだって思ったら、
なんか行動してみようかなって思うようになった。
僕にはまだ僕がやりたいことがわからないけど、
いつかわかるようになる気がする。
そう言ってニコッと笑った次男。
久しぶりに見た、本当にリラックスした次男の笑顔。
きっとぐだぐたしてたのは、
私には想像つかないくらい脳を使って疲れていたんだね。
答えを出さなくちゃ、とか、追い詰められていたのかもしれない。
本当にリラックスしたみたいで、
この後、次男は、気が付いたら寝てた。
大人と子供が混在している次男。
きっとこれからも大変なことがあるだろうけど、
それを吐き出せるようにしていこうと思う。
ギフテッドの生きづらさ、
でも、自分をなくしちゃもったいない。
感じることは感じればいい。
私では物足りない話し相手になる日もくるだろうけど、
それでも、あなたのことを大切に想っていることだけは感じ続けてくれるといいな。