真妄想戦国絵巻 第二話 駿河の王 | 開発くんのブログ

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ピン芸人開発くん劇場が日払いで一人暮らしの日常も芸人活動を書き綴って行きます。

舞台は阿佐ヶ谷中心

儂は鹿島より何日も歩き要約駿府の城下町に辿り着いた

開発「ここが」

そこは賑わっていた

多くの商人が行き来しており町人の顔には笑顔が所々で見られた

開発(京はこんなに賑わっていなかった。今川義元殿の政の手腕は凄いものだな。この笑顔が義元殿の器を物語っている。さてどう仕官したものか)

するとある立て札を見た

開発(御前試合成程これに参加すれば)

儂は御前試合が行われる駿府館へ向かった

開発(ほうここか)

駿府館には多くの男達が列を成していた

御前試合が行われた

義元「皆の者。日頃の成果を存分に発揮せよ」

義元殿は顔が見えぬようになっていた

開発(成程どれも猛者ばかりこうでなくては)

儂の出番が回ってきた

立会人「両者中央へ」

?「待たれよ」

義元「どうした。泰能 」

開発(泰能。まさか今川四天王の一人朝比奈泰能殿か)

泰能「あの者の相手某にやらせてもらえませんでしょうか?」

義元「ほう。それは面白そうじゃ。どうじゃな。お主名前は」

開発「開発聡と申します」

義元「開発聡よ。我が今川四天王の一人朝比奈泰能と手合いせよ」

開発「慎んでお受け致します」

すると朝比奈様と対峙した

開発「朝比奈様御指名頂き光栄に思います」

泰能「なんの」

開発「しかしなぜ私を」

泰能「知りたくば儂を討ち取り聞き出してみよ」

朝比奈様は試合用の棍を振り回した

開発「成程分かり易い」

泰能(笑うかこの状況で)

開発(これはもう試合等ではない。戦だ)

立会人「両者前へ。構え!!」

泰能「今川義元様が家臣朝比奈泰能」

開発「開発聡」

泰能&開発「参る」

両者の剣と槍がぶつかり合う

両者一進一退の攻防戦

泰能「儂を相手に真っ向から向かってくるか。面白い」

開発「この方が斬りあってる実感が湧くのです」

泰能「味な真似をしかし嫌いではない。はああ」

泰能殿の槍の速度が速まった

開発「せああ」

儂も剣の速度をあげる

泰能「凄まじい剣力だ」

開発「泰能殿の槍の速度感服致します。槍の間合いを封じているのにこの反応の速度さすがは今川四天王朝比奈泰能殿でございます。ですが」

儂は木刀の柄を槍の中心に勢いよくあてた

開発「突」

槍は真っ二つ割れた

泰能「何」

其の儘降り下ろすが

開発「朝比奈泰能殿討ち取らせて頂きました」

立会人「そっそれまで」

泰能「負けた負けた」

義元「両者天晴れである」

泰能「なぜ討ち取らなかったのだ」

開発「ここで泰能殿を討ち取ってしまえば先程私を選んだ理由を聞けぬではないですか」

泰能「確かに死人になってしまっては口が聞けぬからな。良いだろう。儂がお主を選んだ理由は目じゃ」

開発「目?」

泰能「御前試合ともなれば普通ならば緊張で目が泳いだりするものだがお主にはそれがない。現にお主は儂と戦ってるとき笑っておった。きっと修羅場を潜り抜けた者だと儂は感じた」

開発「買い被り過ぎです」

義元「泰能にそこまで言わせるとはのう。面白い。開発聡」

開発「はっ。」

義元「少し話がしたい。奥へ参れ」

開発「はっ」

儂は奥へ通され、通されると頭を下げようとすると

義元「その様な古臭い形式等いらぬ。顔を良く見せよ」

開発「はっ」

顔を上げた

義元「!!義輝様」

開発「義元…様?」

義元「すまぬ。其方の顔が若き時の足利義輝公にそっくりだったのでな。歳を取ると目が悪くなるものじゃ。話が逸れたの。お主をこれより我が家臣にする上で聞きたき事がある。開発聡お主はこの今川義元に何を願う」

開発「恐れながら私は生きたいです」

義元「生きるとな。その心は?」

開発「生き抜いた先に見えるであろう乱世の終焉を見たいのです」

義元「乱世の終焉を見てどうする?」

開発「その道中で散っていく者或いは私が散らして行く者その者達に出会い想いや意志を聞きそれを糸にして乱世の終焉の先まで紡ぎ形にして完成させる事が私の天命だとある人から言われました」

義元「それは儂がその道中で散る事があっても」

開発「義元様の想いも意志も紡いでいきます」

義元「面白い。それがそちの儂に望む事か?」

開発「はい」

義元「難しい望みじゃが叶えて見せようぞ。そちが望む事じゃからな。これより其方はこの今川義元の家臣じゃ。励めよ」

開発「開発聡身命を賭して働きます」

頭を下げて立ち上がろうとすると

義元「待て」

開発「はい?」

義元「お主が腰に下げている太刀見せてもらえぬか」

開発「この様な物で宜しければ」

義元様の近くに寄り紡がれを渡した

義元「ほう」

義元様は紡がれを鞘から抜き波紋、反り等を見た

義元「何とも美しい太刀じゃ。波紋といい。反りのこの様に美しい太刀を見るのは初めてじゃ」

開発「お褒めの言葉勿体ない限りでございます」

義元「この太刀はなんと申す」

開発「紡がれと申します」

義元「紡がれ。お主に相応しい太刀じゃな」

開発「もし義元様がお気に召したのでしたら其方の太刀献上させて頂きますが」

義元「それは成らぬ」

義元様は静かに首を横に振った

開発「お気に召さなかったでしょうか?」

義元「その様な事はない。この太刀はこの世で一番美しい太刀じゃと思っている。欲しくないと言えば嘘になってしまう」

開発「では何ゆえ」

義元「それはこの太刀が儂ではなく其方を選んでるからじゃ」

開発「私を」

義元「刀というのは不思議なものでな。それを手に取った瞬間己が選ばれているのかがわかるのじゃ。儂がこれを手にしたとしても紡がれの力は如何程も発揮する事は叶うまい。これでも儂は海道一の弓取りじゃからな。紡がれ良き太刀じゃ大事に致せ」

開発「有り難き幸せ」

義元「そうじゃな。あの男にお主を任せたら面白いやもしれぬな。誰ぞ雪斎を呼べ」

家臣「はっ」

開発(雪斎。もしや)

雪斎「お呼びでしょうか?義元様」

開発「義元様この方はもしや」

義元「さよう。この者は儂の軍配者太原雪斎」

雪斎「太原雪斎と申します」

開発「開発聡です。今川家誉れ高き軍配者太原雪斎様にお会いできて誠に光栄で御座います」

義元「聡よ。今日より雪斎の下で軍略を泰能の下で戦場を学べ」

開発「畏まりました」

義元「二人共下がってよいぞ」

開発&雪斎「はっ」

義元(行ったか。開発聡誠に不思議な男じゃ。まさか義輝公と見間違えるとは儂も焼きが回った事よ。しかしあの者が持っていた太刀あれは将軍家に伝わる天下六剣。儂が上洛した際に義晴公に見せてもらった物。なぜあの男が)

第二話 駿河の王 完