IS学園入学二日目。
時刻は朝5時。
開発(織斑先生か)
千冬「早いな開発」
開発「お早うございます。織斑先生」
千冬「ふっ」
不意に織斑先生が笑った
開発「織斑先生?」
千冬「やはりお前は面白いな。私の気配に気付いていたのだろう」
開発「…」
千冬「黙ってはいるが否定はしない」
開発「性格悪いですね」
千冬「図星だな」
開発「…」
千冬「お前が必要以上に話さないのはやはりその為か、もう口を開いてしまったのだ、その絡繰も教えてもらおうか」
開発「シンクロですよ」
千冬「シンクロ?」
開発「空気中に含まれている音や異物とかから辺りの状況や人の気配を察知する体質の事です」
千冬「成程益々面白い」
開発「これ以上は喋りませんよ、口は災いの元です」
千冬「それは残念だ。所でお前はいつも鍛練をしているのか?」
開発「ええ」
千冬「なら教えてもらった礼という訳ではないが今度組手の指南をしてやろう」
開発「宜しいんですか?」
千冬「勿論だ。指導する事は教師として当然だ」
開発「有難うございます。では明日から一手御指南をお願い致します」
僕は寮へと戻って行ったシャワーを浴びた
廊下から僕の部屋に誰かが近付いてくる気配がした。
開発(一夏か)
一夏「聡。起きてるか?」
外から一夏が声を掛けてきた
開発「起きてるよ」
僕は部屋のドアを開けた
一夏「今から箒と朝飯食いに行くんだけど聡もどうかって」
開発「支度するから少し待って」
僕は部屋に戻りブロックタイプのクッキーを何箱か手に取ってバッグに入れて部屋を出ると
箒「すまない。待たせたな」
少し遅れて篠ノ之さんが合流した
開発「僕も丁度来た所だよ」
一夏「早く行こうぜ」
一夏と箒と食堂へと向かった
食堂
一夏「聡。昨日言った通り飯それなんだな」
開発「うんまあ」
箒「ちゃんと食べないと力が出ないぞ」
一夏「箒の言う通りだぞ」
開発「考えておくよ」
少し会話をしながら一夏達と朝食を取っていた
女性生徒(3年)「君達って噂のコ達でしょ?」
一夏「多分」
開発(赤いリボン三年生か)
女子生徒(3年)「ちょっと失礼」
女子生徒(3年)が俺達が席についているテーブルの空いた席に座った
箒「むっ」
篠ノ之さんは不機嫌な顔になった
開発(分かり易い)
女子生徒(3年)「代表候補生のコと勝負するって聞いたけど本当?」
一夏「そうですけど」
女子生徒(3年)「君達さ、IS稼働時間はどの位?」
一夏「20分位?」
開発「5分です」
篠ノ之さんの目つきが潡々鋭くなっていってる
女子生徒(3年)「稼働時間に比例して上達するのよ?・・絶対無理ね」
開発(確かに現実的に考えれば不可能、オルコットさんは相当な腕の持ち主だ、IS稼働時間は僕らとは比べ物にならない量だ。一筋縄じゃ勝てない)
女子生徒(3年)「なら私が教えてあげよっか。ISの事」
一夏「そうだな。ならお願いを」
開発(僕には必要ないが。一夏の為にはなるし)
箒「それなら私が教えますので結構です」
開発(また厄介な事に)
一夏「え?」
女子生徒(3年)「貴方も一年でしょ!?私の方が」
箒「私は。篠ノ之束の妹ですから」
女子生徒(3年)「篠ノ之、ええっ!!」
開発(そっかだから)
女子生徒(3年)が驚くのも無理はない。
1人でISの基礎理論を考案、実証し、全てのISのコアを造った自他共に認める「天才(or天災)」科学者。
ISを開発した事から政府の監視下に置かれていたが、物語開始の3年前に突如行方を眩ませている
世界で唯一コアの製造方法を知っている人物である為、現在も各国から追われている。
この人物を知らない者はこの世界には存在しない程の人物なのである。
女子生徒(3年)「そうそれなら仕方ないわね」
一夏「なんかスイマセン」
開発「…」
箒「なんだ。開発?」
開発「別に」
一夏「教えてくれるのか?」
箒「そう言っている。用の放課後剣道場に来い。一度腕鈍ってないか見てやる。聡も来てくれ」
放課後後僕も剣道場に同行する事になった。
放課後剣道場
剣道場に防具に竹刀が当たる音が響く
箒「ふう」
篠ノ之さんが面を外して一息を付いた
一夏「はあ。はあ」
箒「どうして此処迄弱くなっている」
力の差は歴然で一夏は篠ノ之さんに惨敗した。
一夏「中学三年かずっと帰宅部だったからな。竹刀を握ったのも久しぶりだ。でコレISと何の関係があるんだ?」
箒「直す。鍛え直す!これから毎日放課後三時間私が稽古をつけてやる!!」
一夏「いや俺はISの事を教えて欲しいって頼んだんだが」
箒「それ以前の問題だっ」
開発(ISは動かすには基礎体力がなければ唯機体に弄ばれて終わりだ)
箒「大体悔しくないのか。ISならまだしも剣道で男が女に負ける等」
一夏「そりゃまあ。格好悪いとは思うが」
箒「なら明日から特訓だ!!いいな!!」
開発(終わったかな)
箒「開発。手合せ願いたいんだが」
開発「僕?」
箒「昨日は醜態を晒してしまったからな。頼む開発。武士の情けいや負け犬の遠吠えと思ってくれて構わない。勝負して本気の開発と勝負したいのだ」
開発「わかった。喜んで相手するよ」
箒「本当か」
開発「僕も篠ノ之さんの本気の剣に興味あるし」
僕は道場の隅にある竹刀入れの中から小太刀竹刀を選んだ
箒「そんな小さいので良いのか!?」
開発「これが丁度良いんだ。剣道のルールでやろ」
箒「わかった」
コートの開始線の所でお互い蹲踞をする
一夏「始め」
箒「せああ」
僕は思いっきり地面を蹴った
箒「何!?」
逆袈裟から斬り上げてきた
箒「くっ(こんなに小さい躯のどこにこんな脚力をもってる。斬撃の重さ。まるで血に飢えた獣。いつもとは丸で別人)」
僕は篠ノ之さんに猛攻を開始した。
勝負は一瞬だった
箒「!!」
見事に片手抜き胴を決めた
一夏「一本勝負あり」
箒「参った。私の完敗だ開発には勝てない」
開発「篠ノ之さんの剣気凄かったよ。良い経験になったよ。また手合せをお願いしたいな?」
箒「是非頼む」
一夏「本当に凄かったよ。聡」
開発「大した事ないよ。一夏はもう一度自分の剣を磨き直さないと。ISを知るのはそれからでも遅くはないよ」
僕は剣道場を後にした
私は稽古の後部室で着替えていた
箒(全く一夏は彼処迄弱くなっていたとは)
私は同門の不出来を嘆いていた
箒(それに比べて開発聡。最初にあった時から只者ではないと思っていたが予想以上だった。物凄く洞察力に優れている、しかもあれは聡の中のほほんの一部に過ぎない、まだまだ強さを隠している。能ある鷹は爪を隠すか。もっと聡の事を)
私はハッっとなり我に返った
箒(何を考えているんだ。私は!!いつのまに下の名前呼びに私は超えたい目標が出来ただから喜んでいる。私と聡は共に真剣勝負をした友。故に正当だ)
その日から一週間後月曜日クラス代表戦当日。第三アリーナ
開発「篠ノ之さん、確かに僕は剣を磨き直すべきだと進言した。けれどISを一度も動かしていないというのはどういう事かな?」
篠ノ之さんの顔を見ると視線を外した
開発「目を逸らさないでもらえるかな?篠ノ之さん」
箒「仕方ないだろう。一夏のISもまだ来てないんだから」
一夏「そうだけど。知識とか基本的な事とかあったろ」
篠ノ之さんは顔を合わせようとしない
真耶「いました」
声がした方向から山田先生が歩いてきた。
一夏「山田先生。どうしたんです?そんなに慌てて」
真耶「あのですね。来ました。開発君と織斑君の専用IS」
一夏「専用IS?」
開発「本当ですか!?」
山田先生の手を掴んだ
真耶「きゃっはい」
一夏「おい聡」
箒「こら、山田先生に何を!?」
開発「何処に!?何処にあるんですか?」
一夏「落ち着けって(聡のテンションが)」
真耶「ビットに搬入してあります」
一夏「え?あの」
開発「早く行きましょ」
真耶「ちょっと開発君!?」
箒「待て(豹変速度が)」
山田先生をビット迄引っ張っていった
千冬「来たか」
開発「織斑先生」
千冬「!?」
開発「どれですか!?僕達の専用機は」
千冬「あれだ(いつも物静かな奴がここ迄)」
僕と一夏はビット奥に進んだ、すると扉の中から白と緑の二機のISが現れた。
真耶「開発くーん」
手を離し近付いた
千冬「大丈夫か?」
開発「うわー」
千冬「アリーナを使用出来る時間は限られてる。ぶっつけ本番でものに…」
一夏「多分聞いてない」
開発「これは」
真耶「白が「白式」で、エメラルドグリーンが「玄武」です」
開発「白式と玄武」
真耶「それでは」
開発「何方ですか!?白式ですか?其れとも玄武ですか!?」
真耶「開発君取敢えず」
千冬「落ち着け」
出席簿が振り下ろされた
開発「何だったら二つでも」
千冬「何!?」
一夏「千冬姉のが効かない…だと」
箒「ここ迄我を忘れるとは」
千冬「白式が織斑で玄武がお前のだ」
開発「玄武が」
真耶「織斑君のISは少し調整に時間が掛りますので先に開発君が」
開発「わかりました」
僕はすぐ様僕の専用IS「玄武」に背中を預けた
開発(最適化された、機体のチェック)
機体のチェックを行った
開発(ハイパーセンサー異常なし。スキンバリアー正常に起動。スラスター正常作動。近接ブレード両刃片手剣葵。遠距離は腕部ガドリング展開して撃つタイプか。シールドも展開させられるのか)
一夏「早い」
千冬「開発。行けるか」
開発「はい」
箒「聡。負ける事は許さない(言えた下の名前で呼べた)」
カタカタと手を動かす
箒(ISに夢中で気付いていないな)
ビットに付くとと試合会場のアリーナへと続くシャッターが開き勢いよく競技場に飛び出した
セシリア「来ましたわね」
振り向くと青い機体に搭乗しているオルコットさんがいた
開発「それ英吉利の第3世代型ISブルー・ティアーズ通称蒼い雫。射撃を主体とした機体!!」
セシリア「知っていましたの?(開発さんいつもと)」
開発「勿論、本やテレビだけだけど。本物が見れるなんてその蒼色かなり綺麗だ」
セシリア「わかりますの?貴方の機体は」
開発「玄武だよ」
セシリア「そのエメラルド色が宝石の様で美しいですわ」
開発「分かるね♪」
セシリア「でも残念ですわ。どうでしょう。今ここで謝ると言うなら無礼を許しますわ」
セシリア「えっあっ…」
急にオルコットさんが慌てだした。
セシリア「そんな事より」
開発(どうやら都合の悪い事みたいだ)
セシリア「私は男である貴方がIS適正が私より上の「S」っていうのが納得出来ないんですわ。ここでその間違いである事を」
開発「理由なんてどうでもいい」
セシリア「このセシリアオルコットを前にして笑っていられるなんて随分な余裕ですわね」
開発「だって楽しいじゃん」
セシリア「もっと違う形でお会いしたかったですわ、残念ですが。お別れですわね」
するとオルコットさんはブザーが鳴ったと同時に発砲して来た
開発「うおっ」
僕はそれを紙一重で避ける
セシリア「よくご存知でこれが主力武装ですわ、それをぶっつけ本番で避けるとはお見事ですわ」
開発「お褒めの言葉どうも」
セシリア「潡々行きますわよ」
開発「望む所!!」
その後も打ってきたがそれを避けていく
開発(クラキッキングオン)
一夏「凄え聡の奴。IS稼働時間5分って言ってなかったか」
千冬「開発の奴。まだ様子を見ているな」
一夏「様子見ってあれでか」
千冬「彼奴は避けながら動作の確認相手のを情報を更新しているのだ」
開発(さてと動作にも大分慣れきた。彼女の特性もかなりわかってきた。オルコットさんの射撃は一級品だ。前に戦った試験官とは大違いだ。けれど)
僕はオルコットさんの攻撃を躱しながらクラッキングを続けている
セシリア「なんでなんで当たらないんですの」
開発(オルコットさんには傲りがある。付け入れる隙はある。虎穴に入らずんば虎児を得ず攻勢に転じて情報を得るしかない)
近接ブレード両刃片手剣葵を展開して突撃を開始した。
セシリア「左足頂きますわ」
開発「(狙いはいい。けど)遅い」
撃たれるよりも早くオルコットさんの懐に入り両刃片手剣葵の斬撃を振るう
セシリア「くっ」
ギリギリの所でスターライトで防ぐ
開発(防がれた。次に相手の取る行動パターンは)
僕はすぐ様後退した
するとスラスターだと思われていたものからレーザーが放たれた
開発(遠隔無線誘導型の武器!!)
するともう三機が追加されて僕の四方を囲んだ
開発(凄い凄い、楽し過ぎる)
僕は潡々オルコットさんとブルーティアーズのデータを更新していった。
開発(成程、あれはスラスターとしても使えるのか、教科書は宛にならないなあ、けど今ので弱点も分かった。クラッキング完了)
僕は両刃片手剣葵を持ったまま肩の力を抜いて目を瞑った
セシリア「降参のようですわね。せめてもの慈悲すぐに終わらせてさしあげますわ」
すると一機のビットからレーザーが放たれた
開発「!!」
僕はそれを紙一重で躱して放たれた方のビットを斬った。
セシリア「まだですわ」
二撃目が放たれた時俺は射線を少しずらした。
開発「ふっ」
二つのビットの同士撃ちになった。
セシリア「なっ」
オルコットさんが焦りだした。
開発「最後」
次が来る前に最後のビットを破壊した。
開発「ここで一気に決めさせてもらう」
僕は一気に懐に
セシリア「お生憎様。自律機動兵器は六機ありますのよ!!」
すると僕に向かってミサイルが二発発射された。
開発「へっ」
箒「聡」
一夏「聡」
箒(まさか聡が負けるなんて)
セシリア「存外しぶとかったですが。所詮この程度で終わりですわ」
千冬「まだ終わっていない」
開発「今のは予想外だったよ。情報は全て回収した筈だったのに、まあそれが楽しいんだけどね、さてここから反撃といこうか」
第二話クラス代表決定戦その1完