ウェルメイド・プレイ #88
………………美波には、その声が聞こえていた。遼は、自分の書いたものには非常に高いプライドを持っている。だから、『指南』という名の『横やり』を入れられることを嫌うのだ。迷いながらようやく書き上げたこの本にダメ出しをされることが、美波には心配でたまらない。「遼………………」史緒里「美波、どうしたの?」史緒里が美波のところに駆け寄ってきた。美波は答えないかわりに、遼がいる方に視線を送る。「あの人が、たくさんのヒットドラマを作った脚本家さんってわけね」美波「そう。私、みっちり絞られちゃった」史緒里「さっきのエチュード?」実は、練習中にリュウからエチュードをやってみてほしいとのリクエストが出ていたのだ。環奈を相手に、リュウが指定したテーマで数分間のエチュードを繰り広げたのだが……………「環奈ちゃん、すごかったもんね」美波「史緒里が詰まっちゃうところなんてほとんど見たことなかったから、ビックリした」史緒里「負けた。自信あったから余計にダメージ受けてる」美波「私も完敗。で、エチュードが終わった後にあの人に呼ばれたの。それで……………」史緒里「それで?」美波「『お芝居好きかい?』って言われた」史緒里「なんて答えたの?」美波「大好きです、って。そしたらそっか、とだけ言 ってた」史緒里「ふーん……………」