ある昼下がり。
夏の暑さにやられてクーラーの風を浴びながら
リビングの冷たいフローリングの上を
のたうち回っていた。

「あぁー。あちぃーなー。」

こういう日はこうしているのが1番。
ゴロゴロと甲子園中継を
見ながら過ごしていると、ドタドタと足音が。
振り返ると妹のみなみ。

「お兄ちゃん!お母さん見てないっ?」

そういや、さっき買い物に行ったな。

「出かけたよ?」

「えぇー!お母さんに
浴衣着せてもらう約束してたのにぃー!」

あぁ、そういや、今日は祭りがあったな。

「待ってたら間に合わないよぉー、
どうしよう、お兄ちゃん。
未央奈とお揃いで浴衣着よう!
って約束したのにぃ。」

どうしよう。って言われてもなぁ。
あっ、あいつなら出来ないかな。
お隣さんに電話をかけてみる。

「もしもーし。」

「はい、もしもし。中元です。」

「どうも。星野です。日芽香?今、暇?」

「暇だけど。どうしたの?」

「みなみがさ、浴衣着てお祭り行きたいんだって。
着せてやってよ。」

「もう、しょうがないなぁ。
すぐ行くから。待ってて。」

程なくして”ピンポーン”と音がした。

「ひめたん、いらっしゃーい♪
ひめたんは神様だよ!」

ニッコニコのみなみ。
よかった、よかった。

その後。10分程で浴衣姿のみなみが
部屋から出てきた。
髪もちゃんとそれっぽくなっていて、
夏だなぁー。とボーッと思ってみる。

「ありがとー!ひめたん!」

「ううん。喜んで貰えてよかった。」

笑顔の我が妹はやっぱりかわいい。

「じゃあ、行ってくるね!」

「うん。行ってらっしゃい♪」

笑顔で見送る俺と日芽香。

「いいなぁ。お祭り。」

「日芽香は行かないの?」

「うーん。行きたいんだけどね。
友達はみんな他にあてがあるみたいで。
…ねぇ。せっかくだから、一緒に行こうよ?」

「2人で?」

「うん。」

「デートじゃん。」

「そうだね。」

「俺でいいの?」

「で。じゃなくて、が。」

「えっ?」

「だめ?」

「いいよ。」

「じゃあ、行こっ。お祭り。」

笑顔の日芽香に手を引っ張られる俺。
こんな夏もありだな。