インセンティブは「やりたいという気持ちを引き出すもの」と訳される。スティーブン・ランズバーグという経済学者は「経済学とは何かといわれたら、それはインセンティブについての学問だ。あとは付け足しだ」といったそうだ。
倫理は自由意志を前提とし、選択の余地がある場合に、より良い方を選択する(考える)為必要なものであるが、スティーブン・ランズバーグの考えをみれば経済学は倫理の一面に思う。
インセンティブの考えは功利主義の快苦計算の考えに近い。
これにもJ・S・ミルの満足した豚よりも不満足な人間の方がよい。満足した馬鹿より不満足なソクラテスの方がよい。という、功利主義の快を低俗なものと捉えないように言った言葉がそのまま当てはまる。
豊かになるにしても創造と他人のものを奪うの二種類あるが、平和を目指すなら後者は否定され、戦争を肯定するなら後者も有りだろう。
J・S・ミル風に言えば創造は正当なインセンティブで後者は低俗なインセンティブと言えよう。
インセンティブは文学的な表現すれば、何かに取り憑かれたような状態だ。それが神なのか悪魔なのかと言えよう。
パチンコ打ちたいというようなインセンティブに取り憑かれるのは幽霊に取り憑かれた男の昔話と重なる。
現代のインセンティブは低俗になっていると思う。