芥川龍之介の河童の中で子供に生まれてくるかどうか尋ねる場面ある。
産児制限の話の後に出てくるんだが、望まれて生まれて来たわけでない人間もこの世界にはいるんだろう。
河童の世界では生まれてくるのは両親の都合だけでない。河童の子供は
「僕は生まれたくはありません」
と答える。
生まれて来たら生きなければいけない。
自分が望まれる世界で生きるならまだしも、望まれない世界で生きるなんて地獄なんじゃないだろうか。
そんな世界で生きる意味を見つけるのは難しい。生きたいと思うことを見つけるのは難しい。
なんで生きてるんだろうという疑問に答えを見つけられない。
しかし、望まれる世界だったとしても、自分が望む世界と違えば同じこと言える。
人間は生まれるかどうかは選べないが、生きるかどうかは選べる。河童の子供のように明日を生きるかどうか選べる…。
願わくば、「生まれたくありません」より、「生まれたい」と言える世の中になってほしい。