♬Laundry Gateの想い出:松任谷由実  1978

   ユーミン通算5枚目のアルバム「紅雀」所収の楽曲。


 ティンパンアレイの松任谷正隆と結婚後初のアルバム、つまり荒井由実から松任谷由実に変わって初のアルバムである。
 松任谷正隆の全面編曲がいよいよ初動しのちにユーミンがカリスマ化していった原点となったアルバムでもあり、ユーミンヒストリーの全容の中では実に金字塔的な起点となった仕事でもあった。
 松任谷はティンパンアレイの中でもこのユーミンとのタッグにのめり込んで行ったことから、ティンパンアレイのリーダー的存在だった細野晴臣とは相容れなくなって行ったのだと思う。
 細野も松任谷正隆も共にルーツミュージックはアメリカウエストコースト系ロックやソウル、果てはウエスタンオールディーズ、トラッドジャズなど、非常に近い音楽観を共有しているのにも拘らず、離散してしまったのは細野の曖昧なリーダー資質の結果だと分析出来る。
 はっぴぃえんどの時の大瀧詠一との仲違いもそうだった様に、バンドとしての一体感を望んでいる細野にとってソロを出す大瀧、ミュージシャンとしても又私生活上でも、ユーミンと言う原石に拘った松任谷らとはどうしても対立してしまう細野晴臣は自分の目指すバンド志向に真っ向から反作用が生じてしまう皮肉。
 細野の葛藤にも一定の理解が深まるが、いつもそうして夢は砕かれて、細野はやがてトロピカル〜ルーツミュージック〜インドなどアジアン志向を経て、突如テクノ志向へと大きく舵を切りYMOへと飛躍していくのだ。
 そんな屈折した細野晴臣の音楽的背景であるアメリカンミュージックとユーミンのヨーロピアンな曲構造を結びつけたのがアルファレコードの村井邦彦だった。
 彼のプロデュースによりユーミンの世界観はニューミュージックと言う化学反応を起こし、それはシティポップの金字塔となって時代を軽く超越し、永遠普遍の和テイストなお洒落な音楽となり、2021年現在に至るも若い世代のユーザーを増やし続けている。
 
 アルバム紅雀の中の標題曲は、アルバムの中で最も洗練されたポップスとして、聴くものの耳に爽やかな風を吹かせている。



 ユーミンは東京の八王子出身の少女時代に仲良くなった女の子との想い出をドライに回想、昭島の東中神辺りに実在した米軍基地の巨大な洗濯工場の入り口がタイトルのルーツだが、今はもう跡形もない。




ふた駅ゆられても まだ続いてる
錆びた金網 線路に沿って
昔あのむこうを あの子と二人
風に吹かれて 歩いたものさ

男の扱い ピツァの作り方
得意気な声が 目をつぶれば聞こえる

“ジミヘン”のレコードも返せないまま
手紙を書くがらでもないし

見送る約束 寝すごした日には
古い滑走路に 夏草だけゆれてた

16の誕生日 私にくれた
苦い口紅 つけて来たのに
あの子が故郷へ飛んでいってから
なぜか寂れてしまったランドリー・ゲイト