今自分が住んでいる家は築90年近く。元々は祖父(父の父)が商売に使っていた家らしい。


自分が物心ついたばかりの3~4歳頃、家はもう商売には使われていなかったけど、自分たち家族の他に父の弟家族も住んでいた。


自分たちは2階に、叔父家族は1階に。

台所とトイレは共同。

その頃はまだお風呂もなく、銭湯に通っていた。


田舎だけどたいして広くもない家だから、今思うとよく2世帯も住んでいたなあって思う。(祖父母は父の弟と一緒に別宅に住んでいた)


自分はまだ幼かったから不便さとか覚えてないけど、父や母、特に家にいて家事や育児をしてた母はたいへんだったろうな。


でも父母が結婚したばかりの頃は、叔父家族どころか、祖父母はもちろん親戚のいろいろな人がこの家に出入りしていたらしい。

 

紆余曲折あって家を父が相続し、叔父家族が新しい家(祖父が建てた家)に引っ越してから、かなり傷んでいた家を全面的に改築し、風呂も増築した。

やっと自分たち家族だけの”我が家”になって、父母は安心したと思う。



けれど自分は、生まれて育ってこのトシまで住んできた(途中、10年間ほどは他の土地に住んでたけれど)家なのに、なぜかこの家に居てもあまり落ち着かなかった。


なんだか自分の家ではないような気がして。

他の誰かから間借りさせてもらっているような、いつも他に誰かが大勢いるような。


たくさんの人が出入りしきた家だから、その人たちの思いみたいなものが残ってるのかなあって。

ちょっとオカルトチックな話だが。


両親も姉も特に気にしていないようだったけれど。


けれど不思議なことに、父と母が亡くなってからはそういうおかしな感じが消えてしまった。



父も母も病院で最期を迎えたのだけど、2人とも入院中ずっとこの家に帰りたがってた。 


父母にとってはかけがえのない我が家、帰ることができる場所だったんだな。


だからたまに引っ越せたらとか建て直したいとかも思うけど、やっぱり自分にとっても唯一無二の我が家だし、住み続けていくだろうなと思うのだ。